神保町シアター

上映スケジュール

これまでの特集企画

「本の街・神保町」文芸映画特集Vol.9
女優・山田五十鈴

※ニュープリント=今回の上映のために新たに作成したプリントです。
1. 鶴八鶴次郎

『祇園の姉妹』で女優開眼した山田の東宝第一作。喧嘩別れを繰り返す新内語りの男と女を、長谷川一夫との本格初共演で描く傑作。

2. 歌行燈

新派の名優花柳章太郎との共演となった鏡花の芸道ものの映画化。深化をみせる成瀬演出は幽玄な「松風」伝授の名場面を生んだ。

3. 芝居道

長谷川との黄金コンビによる芸道もの。戦争末期の作品とは思えない大作で、大阪の角座を再現した巨大なセットが圧巻である。

4. 流れる

柳橋の芸者置屋を舞台に、新旧の芸者たちの群像を超豪華配役で綴る。山田はこの年の女優賞を独占した。成瀬の傑作中の傑作。

5. 夜の流れ

料亭の女将(山田)と大学生の娘(司)の確執を描く花柳界もの。成瀬と川島の共同演出で、親の世代の演出は成瀬の担当と言われる。

6. 愛のお荷物

産児制限を主張する厚生大臣の家で次々と妊娠が発覚するコメディ。山田は大臣の長年の愛人を演じる。川島の日活移籍第一作。

7. 暖簾

昆布問屋を切り盛りする夫婦の、浪花商人気質を年代記として描く。女房役の山田と親子二代を演じた森繁の熱演が見ものの秀作。

8. 浪華悲歌なにわエレジー

後に瑳峨三智子となる娘を出産した19歳の山田が、最後の映画として挑み、逆に演技者としての欲望に目覚めた、溝口健二の傑作。

9. 祇園の姉妹きょうだい

溝口の代表作となった映画史上の名作。男を手玉にとって生きる芸者を熱演した山田が、女優として生きることを決意した演技開眼作。

10. 裸体

溝口門下の脚本家成沢の監督第一作。山田の一人娘瑳峨三智子の主演作で、永井荷風原作の娼婦もの。山田は監督に熱望され特別出演。

11. 昨日消えた男

長谷川・山田の黄金コンビによる推理時代劇の傑作。海外ミステリーに精通した小国の脚本をマキノが9日間で撮影した伝説の一作。

12. 待って居た男

黄金コンビ&エノケンという豪華キャストによる推理時代劇。監督と脚本、マキノ&小国の名コンビが、再び出色の娯楽作を仕上げた。

13. 人生とんぼ返り

新国劇の殺陣を創始した段平と、彼を支えた妻(山田)と娘の物語。飲んだくれの男につくす女たちの心意気を描く名調子に酔う。

14. 母三人

6歳の男の子の、育ての母に山田、生みの母に新珠、義理の母に木暮という豪華配役の母もの。新派の当たり狂言の四度目の映画化。

15. 蛇姫様(総集篇)

悪家老の息子を斬って旅一座に逃げ込んだ千太郎が、三味線弾きのお島と恋に落ちる。黄金コンビを中心に豪華キャストの大ヒット作。

16. 或る夜の殿様

鉄道利権に群がる人々を箱根の高級旅館を舞台に描く喜劇。気のいい女中を演じた山田にとって、戦後の「里程標」となった秀作。

17. 婦系図(総集篇)

戦争中に映画化された新派悲劇の決定版。山田はもちろんお蔦を演じる。時局柄、真砂町の先生は火薬の研究家に改変されている。

18. おぼろ駕籠

阪妻演じる生臭坊主が、田中絹代の協力で大奥殺人事件の真相を探る推理時代劇。山田は事件の鍵を握る大奥の大物を演じる豪華篇。

19. 現代人

贈賄攻勢にあう若きアプレ官僚を描いた名作。山田は主人公の上司の愛人であるバーのマダムに扮し、彼を破滅へと導く悪女を名演
※仏語字幕入りプリントで上映

20. 悪女の季節

吝嗇の財産家と暮らす、芸者あがりの愛人とその娘の欲に駆られた骨肉の争い。山田の豊満な色香に圧倒されるブラックコメディ。
※ニュープリント

21. 大坂城物語

大坂の陣を回避しようとする謎の勢力に見込まれた風来坊の活躍を描く。山田は主戦派の淀君として前半に登場し、貫録を見せる。

22. 我が家は楽し

大船調の再来と評判をとった中村登の出世作。見事な良妻賢母ぶりをみせる山田を中心とした豪華キャストの秀作ホームドラマ。
※16mmで上映

23. 箱根風雲録

江戸初期に、箱根用水を切り開いた商人と農民たちの波瀾万丈の物語。商人の妻を演じた山田は本作と『現代人』で初の演技賞を受賞。
※16mmで上映

24. 母なれば女なれば

空襲で長男と生き別れた戦争未亡人が、運命のいたずらに翻弄されていく。苦悩を越えて強い意志を獲得するヒロインを熱演する。
※16mmで上映

25. 女ひとり大地を行く

当時、独立プロの映画製作に身を投じていた山田の集大成となった力作。北海道の炭坑で働く女の、戦中戦後18年の歩みを綴る。
※16mmで上映

26. 雲ながるる果てに

特攻隊に志願した学徒航空兵たちの出撃までの日々を描く家城の代表作。山田は木村功の老いた母として回想シーンに登場する。

27. からたちの花

明治時代、水の都・柳川を舞台に、北原白秋の旧制中学校時代を描く青春もの。白秋の親友の母を演じた山田はひとり別次元の存在感。
※16mmで上映

28. あやにかなしき

精神を病む妻とそれを小説に書く夫。上林暁の私小説の映画化で、宇野重吉の初監督となった秀作。山田は彼らを励ます飲み屋の女将。
※16mmで上映

29. おしどりの間

娘瑳峨三智子との本格初共演。二号になった母に反発し、家を出た娘の遍歴を描く。山田は瑳峨に代表作をと、自ら引き立て役に回った。

30. 下町ダウンタウン

幼子を抱え、行商で糊口をしのぐ女が、トラック運転手と親しくなる。わずか一時間の小品ながら、山田と三船の代表作といえる傑作。

31. 予科練物語 紺碧の空遠く

予科練生の世話をした土浦の未亡人の物語。零戦によく似た自衛隊のプロペラ機を多数使用したが、反戦色濃厚で国会で問題にされた。