神保町シアター

これまでの特集企画

川本三郎編 鉄道映画紀行 〜思ひ出は列車に乗って〜

※作品解説=川本三郎
※ニュープリント=今回の上映のために新たに作成したプリントです。


1. 指導物語

千葉の鉄道第一連隊の兵隊が国鉄の機関士の指導を受け、機関車の運転を学ぶ。千葉にあった機関区で撮影。現在、千葉公園には当時の訓練用トンネルが残っている。

2. カルメン故郷に帰る

高峰秀子が草津と新軽井沢を結ぶ軽便鉄道、草軽電気鉄道(昭和37年廃線)に乗って故郷北軽井沢に帰ってくる。草軽電鉄は木下惠介『善魔』にも登場。

3. 山鳩

森繁が草軽電鉄の小駅の駅長を演じる。「落葉松沢【からまつざわ】は架空の名。実際は小瀬温泉駅で撮影された。現在、駅のあとに字は異るがバス停「唐松沢」がある。

4. 大いなる驀進ばくしん

東京―長崎を一昼夜かけて走った寝台特急「さくら」の車掌と乗客たちの物語。動くグランドホテルもの。いまや姿を消しつつあるブルートレインが美しい。

5. すばらしい蒸気機関車

消えゆくSLの最後の姿を日本各地、春夏秋冬でとらえた詩的ドキュメンタリー。「デゴイチ」「ハチロク」など16種が登場。「デゴイチ」がループ線で矢岳越えするのは圧巻。

6. 父ちゃんのポーが聞える

小林桂樹が北陸を走る蒸気機関車の運転手を演じる。北陸本線、高岡駅などで撮影。ターンテーブル、タブレット(通票)交換が見られる。難病の娘、吉沢京子が可愛い。

7. 遠い一本の道

室蘭本線の追分駅(石勝線との分岐点)保線区で働く国鉄労働者一家の物語。後半、長崎県の軍艦島(炭住跡)が出てくるのも見もの。

8. 遠い雲

全篇、岐阜県の高山市でロケ。高山の名を一躍全国に知らしめた。最初と最後、高山本線を走るSLの姿がみごと。高山駅での別れが悲しい。

9. しろがね心中

銀【しろがね】温泉のモデルは岩手県鉛温泉。花巻と鉛温泉を結ぶ花巻電鉄(昭和44年廃線)の極端に車体が狭い「うまずら電車」が見られる。
※16mmで上映

10. 挽歌

久我美子が立つ丘の下を走る鉄道は、炭鉱専用線。高峰三枝子と渡辺文雄が行く木橋は、釧網本線塘路【とうろ】駅近くに残っていた殖民軌道(馬鉄)のもの。映画のあと「挽歌橋」と呼ばれた。
※16mmで上映

11. 裸の大将

兵隊のがれで放浪を続ける山下清はよく線路を歩く。迷わず必ず目的地に着くから。弁当屋のある虻田【あぶた】駅のモデルは常磐線の我孫子駅。

12. 故郷ふるさとは緑なりき

セーラー服姿の佐久間良子のきれいなこと!通学の列車で初恋が生まれる。信越本線の長岡と柏崎のあいだで撮影されている。
※ニュープリント

13. 北国の街

『故郷は緑なりき』のリメイク。鉄道は新潟県の越後川口と長野県の豊野を結ぶ飯山線にかわっている。飯山駅、戸狩駅(現在の戸狩野沢温泉駅)が登場。

14. 下町の太陽

倍賞千恵子の家があるのは向島の橘銀座あたり。利用する駅は京成電車の荒川駅。平成6年新駅舎の完成と共に八広駅に改称。都電にも注目。

15. 幽霊列車

ある軽便鉄道の駅が舞台。東京から温泉に来た連中が夏の一夜、その駅で過ごすことになる。駅には幽霊が出るという噂が。
※16mmで上映→デジタル上映(デジタルベータカム)に変更になりました

16. 新東京行進曲

銀座の名門、泰明小学校を卒業した5人の仲間を主人公にした青春映画。大坂志郎は都電の運転手。電車は錦糸町から須田町へと走る。
※16mmで上映

17. くたばれ愚連隊

東京の若者、和田浩治が淡路島に行ってひと暴れ。最後に登場する鉄道は洲本と福良を結んでいた淡路交通(昭和41年廃線)。「島の鉄道」は珍しい。

18. 特急にっぽん

昭和33年に登場した電車特急「こだま」が“主役”。東京―大阪間を6時間半で走る。食堂車で働くコックやウェイトレスを描いているのは異色。「こだま」は『天国と地獄』で有名。

19. 喜劇 各駅停車

森繁が蒸気機関車の運転手、三木のり平が助士。鉄道は現在のわたらせ渓谷鐵道の前身足尾線。当時は国鉄だった。列車事故の場面は迫力。

20. 喜劇 急行列車

渥美清が東京―長崎を走る寝台特急「さくら」の車掌。新幹線が「富士」を追い抜くところが新時代を感じさせる。亡き大原麗子が食堂車のウェイトレス。

21. 喜劇 逆転旅行

フランキー堺が東北本線急行の専務車掌、伴淳三郎が食堂車のパーサー。弘前、秋田などでロケされている。お座敷列車が登場。

22. 点と線

御存知、東京駅の「四分間の空白」が核。当時登場した夜行特急「あさかぜ」(いわゆるブルートレイン)が見られる。昭和31年に誕生した戦後初の夜行特急。

23. 影なき声

蒸気機関車の時代、ターンテーブルと貯炭場のある操車場は鉄道にとって重要な役割を果たした。その、上野駅に近い田端の大操車場が事件のひとつの鍵になる。

24. 赤い殺意

原作の舞台は杉並区の阿佐谷だが、映画では春川ますみの住む家は、仙台の近く東北本線の土手下に設定されている。鉄道が映像のアクセントになる。

25. 執炎

山陰を舞台にした戦時下の女性の悲劇。亡き宮脇俊三が愛した餘部【あまるべ】の鉄橋が繰返し、とらえられる。鉄道ファン必見。鉄橋は現在建て替え中。

26. 網走番外地

高倉健と南原宏治が手錠のまま大雪原を逃げ、鉄道で手錠を切断する。根室本線の厚岸【あっけし】駅に近い別寒辺牛【べかんべうし】湿原で撮影されている。

27. 飢餓海峡

青函連絡線洞爺丸転覆事件と同じ日に起きた岩内【いわない】町の大火をモデルにしている。三国連太郎は下北半島の川内【かわうち】森林鉄道と岩内線(昭和60年廃線)に乗る。
※プリント状態は良くないようです

28. 約束

日本海沿いを走る列車のなかで出会った二人。糸魚川【いといがわ】駅、柏崎駅は実名だが二人が降りる羽越駅は架空。北陸本線の敦賀【つるが】駅と越前岬周辺でロケ。