一年遅れの生誕百年
2011年10月1日(土)〜28日(金)
東宝娯楽映画のヒットメーカーが歩んだ、
花ざかり映画人生
戦前・戦後の映画界を渡り歩いた
"職人監督の貌"を回顧します
1910年、旧満州・長春生まれ。'28年、18歳で阪妻立花ユニヴァーサル聨合映画入社後、'29年河合映画に移り、'30年に『蒼白き人々』で監督デビュー。富国映画社、台湾プロを経て、'33年に日活に入社。『ウチの女房にゃ髭がある』などの歌謡映画が大ヒット。'39年には南旺映画に移るが、翌年同社で製作した『煉瓦女工』が検閲で公開不許可処分を受ける('46年に公開)。
その後、大映東京撮影所を経て、'47年からはフリーに。'56年、東宝専属となり、『へそくり社長』をヒットさせ、ヒットメーカーの地位を確立。'57年からの『大番』シリーズが大ヒットを記録。同じ頃に中篇文芸映画「ダイヤモンド・シリーズ*1」で『鬼火』『下町』などを手掛け、評判を呼んだ。その後もヒット作を作り続けながら、『二人の息子』などの佳作も発表。
'69年の『水戸黄門漫遊記』が最後の映画となり、テレビドラマの監修を務めた後、'85年死去。
*1 ダイヤモンド・シリーズ……東宝が1956年から製作した、小説を原作とした文芸作品の中篇(1時間程度)併映用映画の企画の名称。第1作目が『鬼火』。主な作品に『新しい背広』('57、筧正典監督) 、『象』('57、山本嘉次郎監督) など。
『山のかなたに 総集篇』 昭和26年 白黒 原作:石坂洋次郎 出演:池部良、角梨枝子、田中春男 *デジタル上映
『東京の恋人』 昭和27年 白黒 脚本:井手俊郎、吉田二三夫 出演:原節子、三船敏郎、杉葉子
『アツカマ氏とオヤカマ氏』 昭和30年 白黒 原作:岡部冬彦 脚本:笠原良三 出演:上原謙、小林桂樹、森繁久弥 *デジタル上映
『香港の夜 A NIGHT IN HONGKONG』 昭和36年 カラー 脚本:井手俊郎 出演:宝田明、尤敏(ユー・ミン)、司葉子
『ホノルル・東京・香港 HONOLULU-TOKYO-HONGKONG』 昭和38年 カラー 脚本:松山善三 出演:宝田明、尤敏(ユー・ミン)、加山雄三
『へそくり社長』 昭和31年 白黒 脚本:笠原良三 出演:森繁久弥、小林桂樹、越路吹雪
『続 へそくり社長』 昭和31年 白黒 脚本:笠原良三 出演:森繁久弥、小林桂樹、八千草薫
『狐と狸』 昭和34年 カラー 原作:熊王徳平「甲州商人」 出演:加東大介、小林桂樹、団令子
『羽織の大将』 昭和35年 白黒 脚本:笠原良三 出演:フランキー堺、桂小金治、加東大介
『おかしな奴』 昭和31年 白黒 原作:大佛次郎 出演:小林桂樹、笠智衆、安西郷子
『二人の息子』 昭和36年 カラー 脚本:松山善三 出演:宝田明、加山雄三、白川由美
『春らんまん』 昭和43年 カラー 原作:水木洋子 出演:司葉子、新珠三千代、宝田明
『河のほとりで』 昭和37年 カラー 原作:石坂洋次郎 出演:加山雄三、星由里子、山村聰、淡島千景
『好人物の夫婦』 昭和31年 白黒 原作:志賀直哉 出演:池部良、津島恵子、青山京子
『がめつい奴』 昭和35年 カラー 原作:菊田一夫 出演:三益愛子、森雅之、高島忠夫
『鬼火』 昭和31年 白黒 原作:吉屋信子 出演:加東大介、津島恵子、宮口精二
『みれん』 昭和38年 白黒 原作:瀬戸内晴美「夏の終り」 出演:池内淳子、仲代達矢、仲谷昇
『下町』 昭和32年 白黒 原作:林芙美子 出演:山田五十鈴、三船敏郎
『大番』 昭和32年 白黒 原作:獅子文六 出演:加東大介、淡島千景、原節子、仲代達矢
『続大番 風雲篇』 昭和32年 白黒 原作:獅子文六 出演:加東大介、淡島千景、原節子、青山京子
『続々大番 怒涛篇』 昭和32年 白黒 原作:獅子文六 出演:加東大介、淡島千景、原節子、三木のり平
『大番 完結篇』 昭和33年 白黒 原作:獅子文六 出演:加東大介、淡島千景、原節子、団令子
日時=10月17日(月) 14:15〜/19:15〜
※『嬉しい娘』10月16日(日)15:30〜はサイレント上映となります。
※事情により急遽サイレント上映になる場合がございます。ご了承ください。
伴奏者紹介》 柳下美恵 Yanashita Mie /作曲、キーボード
サイレント映画伴奏者。武蔵野音楽大学器楽科(ピアノ専攻)卒業。1995年、朝日新聞社主催の映画生誕100年記念上映会でデビュー以来、国内外の映画祭、上映会などで公演。紀伊國屋書店クリティカル・エディション・シリーズ『裁かるゝジャンヌ』『魔女』の音楽を担当。2006年度日本映画ペンクラブ奨励賞受賞。 NPO法人 映画保存協会正会員。
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