激動の時代を駆け抜けた
ロングランの女優人生
2013年8月3日(土)〜30日(金)
■森光子・略歴■
1920年、京都府の割烹旅館「國の家」の女将・艶の長女として生まれる。本名・村上美津。少女時代は宝塚や松竹歌劇に憧れ、従兄である大スター・嵐寛寿郎を頼って、1935年、『春霞八百八町』(マキノ正博監督)で映画デビュー。嵐寛寿郎プロ解散後も新興キネマに移り、『剣豪荒木又右衛門』(1938年、伊藤大輔監督)や『元禄女大名』(1939年、木村恵吾監督)等、多くの映画に娘役で出演した。戦況が悪化する中、製作本数の減った映画界に不安を抱き、1941年より歌手を目指す。戦時中は外地慰問に参加し、戦後は進駐軍キャンプの舞台にも立った。
戦後は関西を拠点に歌手として活躍。1949年、肺結核を患い二年余の療養生活を送るも、横山エンタツ主演のラジオ番組「エンタツの迷探偵」で復帰。テレビ放送が始まると、中田ダイマル・ラケット、藤田まことと共演した「びっくり捕物帖」等、次々とヒット番組に出演し、一躍スターとなった。一方舞台では、1958年、劇作家・菊田一夫に見出され、「花のれん」「がめつい奴」など大作に出演。1960年「がしんたれ」で初の林芙美子役を演じ、その評判も冷めやらぬ翌年、「放浪記」初演。舞台「放浪記」は、その後の芸能人生のライフワークとなり、2009年に89歳で2000回公演を達成するロングラン公演となった。
映画に始まった森光子の女優人生は、ラジオ・テレビ・舞台と活躍の場を広げ、日本の芸能界において不動の地位を築いた。2012年11月10日、惜しまれつつ、92歳でこの世を去った。
『強情親爺とドレミハ娘』 昭和32年 白黒 監督:小田基義 出演:柳家金語楼、ペギー葉山、有島一郎、横山エンタツ、中田ダイマル・ラケット
『喜劇 駅前女将』 昭和39年 カラー 監督:佐伯幸三 出演:森繁久彌、伴淳三郎、淡島千景、フランキー堺、池内淳子
『その場所に女ありて』 昭和37年 カラー 監督:鈴木英夫 出演:司葉子、宝田明、水野久美、原知佐子、山崎努
『台所太平記』 昭和38年 カラー 監督:豊田四郎 出演:森繁久彌、淡島千景、団令子、淡路恵子、池内淳子
『丼池』 昭和38年 白黒 監督:久松静児 出演:司葉子、三益愛子、新珠三千代、佐田啓二、中村鴈治郎
『「可否道」より なんじゃもんじゃ』 昭和38年 白黒 監督:井上和男 出演:川津祐介、加賀まりこ、加東大介、松村達雄、長門裕之
『モンローのような女』 昭和39年 カラー 監督:渋谷実 出演:真理明美、佐田啓二、笠智衆、中原早苗、千之赫子
『この空のある限り』 昭和39年 白黒 監督:桜井秀雄 出演:鰐淵晴子、千秋実、田中絹代、奈良真養、三上真一郎
『暖春』 昭和40年 カラー 監督:中村登 出演:岩下志麻、山形勲、三宅邦子、太田博之、乙羽信子
『氷点』 昭和41年 白黒 監督:山本薩夫 出演:若尾文子、安田道代、山本圭、船越英二、津川雅彦
『惜春』 昭和42年 カラー 監督:中村登 出演:新珠三千代、加賀まりこ、香山美子、早川保、平幹二朗
『春日和』 昭和42年 カラー 監督:大庭秀雄 出演:岩下志麻、栗塚旭、山形勲、加藤治子、左幸子
『乱れ雲』 昭和42年 カラー 監督:成瀬巳喜男 出演:加山雄三、司葉子、草笛光子、浜美枝、加東大介
『爽春』 昭和43年 カラー 監督:中村登 出演:岩下志麻、竹脇無我、生田悦子、山形勲、市川好郎
『喜劇"夫"売ります!!』 昭和43年 カラー 監督:瀬川昌治 出演:フランキー堺、佐久間良子、芦屋小雁、多々良純、川崎敬三
『映画女優』 昭和62年 カラー 監督:市川崑 出演:吉永小百合、森光子、菅原文太、石坂浩二、渡辺徹、沢口靖子