神保町シアター

S14('39)／日活／白黒／スタンダード／1時間9分

■監督：マキノ正博■脚本：江戸川浩二■撮影：宮川一夫■音楽：大久保徳二郎■出演：片岡千恵蔵、志村喬、市川春代、深水藤子、服部冨子、ディック・ミネ

貧乏浪人をめぐる恋の鞘当てを描いた、名匠マキノ正博監督の明朗篇。わずか7日間で撮られたことが信じられない、これぞオペレッタ時代劇の金字塔。志村喬も意外な美声を聴かせる。
＊16mmで上映

S37('62)／東映京都／カラー／シネスコ／1時間25分

■監督：沢島忠■脚本：鷹澤和善（高松富久子＋沢島忠）、高島貞治（高田宏治＋中島貞夫）■撮影：山岸長樹■音楽：米山正夫■美術：鈴木孝俊■出演：美空ひばり、江利チエミ、東千代之介、田中春男、花園ひろみ、堺駿二

ふたりの町娘が東海道を西へ下る珍道中。東映時代劇に新風を吹き込んだ沢島忠監督による時代劇ミュージカルの傑作。ひばり、チエミの息の合った掛け合いが最高。

S31('56)／宝塚映画／白黒／スタンダード／1時間29分

■監督：中川信夫■脚本：笠原良三■撮影：岡崎宏三■音楽：米山正夫■美術：加藤雅俊■出演：美空ひばり、中村扇雀、浪花千栄子、扇千景、柳永二郎、堺駿二

北條秀司の戯曲『狐と笛吹き』を基に、若き笛師と美しい娘の悲恋を描いた一篇。怪談映画の巨匠、中川信夫監督が歌と踊りを絡めて、幻想と抒情豊かに描いた佳篇。

S31('56)／日活／白黒／スタンダード／1時間32分

■監督：井上梅次■脚本：吉田広介■撮影：間宮義雄■音楽：多忠修■美術：木村威夫■出演：江利チエミ、長門裕之、浅丘ルリ子、岡田真澄、フランキー堺、月丘夢路

和製ミュージカル映画の第一人者、井上梅次監督による音楽映画。MGMミュージカルへの憧れが江利チエミという稀代のシンガーを得て、モダンで華やかな成功作となった。
＊16mmで上映

S17('42)／大映京都／白黒／スタンダード／1時間25分

■監督・脚本：木村恵吾■撮影：牧田行正■音楽：佐藤顕雄■美術：上里義三■出演：高山廣子、宮城千賀子、草笛美子、益田喜頓、美ち奴、リズムボーイズ

和製ミュージカル映画のルーツ、狸御殿ものの一篇。戦時下にも関わらず大ヒットし、狸御殿は大映および木村恵吾監督の代名詞に。男装の狸吉郎に扮した宮城千賀子がりりしい。
＊16mmで上映

S39('64)／東宝／カラー／シネスコ／1時間31分

■監督：杉江敏男■脚本：笠原良三、田波靖男■撮影：完倉泰一■音楽：神津善行■美術：植田寛■出演：美空ひばり、江利チエミ、雪村いづみ、宝田明、夏木陽介、岡田真澄、高島忠夫

『ジャンケン娘』（55年）、『ロマンス娘』（56年）、『大当り三色娘』（57年）と作られた三人娘映画の集大成。各人のテイストを生かした歌唱ナンバーが楽しい。

S36('61)／ニュー東映東京／白黒／シネスコ／1時間30分

■監督：瀬川昌治■脚本：井手雅人■撮影：田中義信■音楽：松井八郎■美術：北川弘■出演：梅宮辰夫、南廣、今井俊二（健二）、水谷良重、三田佳子、榎本健一、大泉滉

九州から上京したコーラスグループの売り込み大作戦。喜劇の名匠、瀬川昌治監督が撮ったあっと驚く東映ミュージカル。エノケンが笑いを誘い、三田佳子がキュートなヒロインを演じる。

S37('62)／東京映画／カラー／シネスコ／1時間29分

■監督：佐伯幸三■脚本：森功二■撮影：黒田徳三■音楽：平岡精二■美術：狩野健■出演：宝田明、池内淳子、中尾ミエ、船戸順、ザ・ピーナッツ、クレージー・キャッツ

ロカビリーマダムと呼ばれた渡辺プロの清水美佐副社長をモデルにした歌謡映画。当時16歳の中尾ミエを囲み、クレージーやピーナッツなど所属タレントが大挙出演。

S37('62)／東宝／カラー／シネスコ／1時間31分

■監督：杉江敏男■脚本：笠原良三■撮影：完倉泰一■音楽：中村八大■美術：阿久根巌■出演：ザ・ピーナッツ、宝田明、ハナ肇、植木等、淡路恵子、有島一郎

渡辺プロの誇るツインズ、ザ・ピーナッツ主演の青春篇。別々に育てられた双子の姉妹が再会し、歌手デビューを果たす。封切時は『キングコング対ゴジラ』との二本立てで大ヒット。

S35('60)／宝塚映画／カラー／シネスコ／1時間48分

■監督：井上梅次■脚本：若尾徳平、井上梅次■撮影：岡崎宏三■音楽：多忠修、河辺公一■美術：鳥居塚誠一■出演：宝田明、雪村いづみ、高島忠夫、朝丘雪路、水原一郎、神部一郎

ジャズバンドの結成から解散、再結成までを描いた恋と友情の物語。楽曲によってストーリーが展開する構成にセンスと職人技が光る、井上梅次監督の音楽映画の最高傑作。

S37('62)／東宝／カラー／シネスコ／1時間28分

■監督：古沢憲吾■脚本：小野田勇、田波靖男■撮影：飯村正■音楽：中村八大、宮川泰■美術：小川一男■出演：植木等、ハナ肇、坂本九、団令子、谷啓、淡路恵子、ジェリー藤尾、浜美枝

NHKの人気バラエティ番組の映画化。スター総出演で化粧品会社の販売合戦が描かれる。『ニッポン無責任時代』の古澤憲吾監督の「いきなりミュージカル」演出が効果的。

S38('63)／宝塚映画／カラー／シネスコ／1時間23分

■監督：佐伯幸三■脚本：井手俊郎■撮影：梁井潤■音楽：平岡精二■美術：小島基司■出演：中尾ミエ、伊東ゆかり、園まり、スリー・ファンキーズ、クレージー・キャッツ

テレビ番組で人気が出た渡辺プロのミエ、ゆかり、まりの「スパーク三人娘」をフィーチャー。『ウエストサイド物語』のスタッフを招いたミュージカルナンバーが楽しい。

S42('67)／東宝、渡辺プロ／カラー／シネスコ／2時間37分

■監督：坪島孝■脚本：笠原良三、田波靖男■撮影：内海正治■音楽：宮川泰、萩原哲晶■美術：竹中和雄■出演：クレージー・キャッツ、浜美枝、藤田まこと、園まり、加山雄三

東宝創立35周年記念として日本映画初のアメリカ縦断ロケを敢行した超大作。ラスベガスのメインストリートを封鎖して、クレージーの面々が歌うナンバー「ハローラスベガス」の高揚は圧巻。

S39('64)／東宝／カラー／シネスコ／1時間40分

■監督：須川栄三■脚本：笠原良三、井手俊郎■撮影：内海正治■音楽：黛敏郎■美術：村木忍■出演：フランキー堺、雪村いづみ、高島忠夫、中尾ミエ、益田喜頓、有島一郎

五輪に沸く東京を舞台に芸達者たちがスクリーン狭しと歌い踊る。これぞニッポンミュージカル映画の金字塔。「アメリカでは」「男いっぴき」など名曲揃いの作詞は谷川俊太郎。

S38('63)／松竹大船／カラー／シネスコ／1時間38分

■監督・原案・脚本：井上梅次■撮影：小杉正雄■音楽：広瀬健次郎■美術：岡田要■出演：水谷良重、倍賞千恵子、鰐淵晴子、有島一郎、吉田輝雄、佐田啓二

ショウダンサーを目指す三人姉妹の恋愛模様を描いたミュージカル・ドラマ。3年後、香港に招かれた井上梅次監督が自身でリメイクした『香港ノクターン』のオリジナル。

S39('64)／大映東京／カラー／シネスコ／1時間28分

■監督：島耕二■脚本：舟橋和郎■撮影：小原譲治■音楽：平岡精二、前田憲男■美術：下河原友雄■出演：中田康子、岩村信夫、坂本博士、原田信夫、尾藤イサオ

永田雅一大映社長の号令下、日本初の本格ミュージカル映画を目指した大作。ヘンリー・キング監督『回転木馬』の振付師ロッド・アレキサンダーがミュージカルパートの演出を担当。
＊16mmで上映

S43('68)／松竹大船／カラー／シネスコ／1時間23分

■監督：前田陽一■脚本：中原弓彦（小林信彦）、前田陽一■撮影：竹村博■音楽：いずみ・たく■美術：佐藤公信■出演：ジャガーズ、中村晃子、尾崎奈々、三遊亭円楽、てんぷくトリオ

グループサウンズのブームが生んだ異色作。リチャード・レスターの『HELP!』を下敷きに、ゴダールの『気狂いピエロ』のパロディも交え、戯作者精神に満ちたポップな作風が楽しい。

S39('64)／東宝／白黒／シネスコ／1時間35分

■監督・脚本：岡本喜八■原作：コーネル・ウールリッチ『万年筆』■撮影：宇野晋作■音楽：佐藤勝■美術：阿久根巌■出演：伊藤雄之助、越路吹雪、砂塚秀夫、中谷一郎、有島一郎、桜井浩子

鬼才、岡本喜八監督がコーネル・ウールリッチの『万年筆』を翻案した奇想天外な喜劇。能、狂言、浪曲、御詠歌、落語までを駆使した、にっぽんミュージカルの異色作。

S45('70)／オールスタッフ・プロ、テアトル・プロ／カラー／シネスコ／1時間33分

■監督：羽仁進■脚本：羽仁進、山田宏一、渡辺武信■撮影：奥村祐司■音楽：いずみ・たく■美術：和田誠、灘本唯人、山下勇三 、白井宏信■出演：ピンキーとキラーズ、大矢茂、佐良直美、由紀さおり、前田武彦、土居まさる

羽仁進が山田宏一、渡辺武信ら映画通とつくり上げた、可愛らしいミュージカルコメディ。和田誠によるアニメーションとの合成でピンキーがカバと歌うラストがチャーミング。

S60('85)／フジテレビ／カラー／ヴィスタ／1時間57分

■監督・脚本：川島透■撮影：前田米造■音楽：芹澤廣明■美術：中澤克己■出演：チェッカーズ、遠藤由美子、有島一郎、ジョニー大倉、財津一郎、宮崎美子

当時人気絶頂のチェッカーズ主演で、往年の狸御殿ものをリフレッシュさせたファンタスティックコメディ。ヒット曲が次々に流れ、懐かしの80年代にいざなう。

S63('88)／ビクター音楽産業、サンダンス・カンパニー／カラー／ヴィスタ／1時間38分

■監督・脚本：和田誠■原作：ヘンリー・スレッサー『怪盗ルビイ・マーチンスン』■撮影：丸池納■音楽：八木正生■美術：中澤克己■出演：小泉今日子、真田広之、水野久美、岡田真澄、木ノ実ナナ

和田誠の監督第2作。小泉今日子と真田広之のデュエット「たとえばフォーエバー」は、往年のハリウッド映画へのオマージュに満ちた至福の名場面。公開時の併映アニメ『怪盗ジゴマ』も上映。