松竹蒲田の三巨匠―モダニストたちの映画
生誕110年 小杉勇
2014年4月26日(土)〜5月9日(金)
*上映作品リストにおいて、特記以外はすべてサイレント映画
*サイレント映画はすべての上映にピアノによる生伴奏が付きます
*出演者は都合により変更になることがあります
◆入場料金(当日券のみ)
◆サイレント【長尺】作品=¥2000均一
1『愛よ人類と共にあれ』/ 2『若者よなぜ泣くか』/ 3『銀河』
◆サイレント作品=¥1500均一
4『七つの海〈前後篇〉』/ 5『路上の霊魂』/ 6『瀧の白糸』/ 7『君と別れて』/8『警察官』/ 9『人生劇場』/ 10『東京行進曲』/ 11『愛の一家』
◆トーキー作品=一般¥1200/シニア¥1000/学生¥800
12『地獄の波止場』/ 13『土と兵隊』/ 14『野戦軍楽隊』/ 15『刑事物語 殺人者を挙げろ』/ 16『刑事物語 灰色の暴走』
■松竹蒲田の三巨匠―モダニストたちの映画
世界的なサイレント映画の祭典・ポルデノーネ無声映画祭(イタリア)において、2010年に特集された「松竹の三巨匠」、牛原虚彦(1897−1985)、島津安次郎(1897−1945)、清水宏(1903−1966)を特集します。日本映画の草創期に活躍したこの三巨匠は、野球、ビリヤード、蓄音機、ダンスホール、洋服、自動車など、欧米文化のアイテムをいち早くとり入れたモダンな作風で知られ、メロドラマの旗手としてヒット作を連発しました。
今回は、見応えたっぷりの長篇大作をお楽しみいただきます。銀幕を彩る鈴木傳明、岡田時彦ら伝説の美男子俳優たちにもご注目ください。
『若者よなぜ泣くか』 昭和5年 白黒 監督:牛原虚彦 出演:鈴木傳明、岡田時彦、田中絹代、藤野秀夫、川崎弘子
■「松竹キネマ研究所」の映画
1920年、松竹は本格的な映画製作に乗り出すべく蒲田に撮影所をかまえました。同年、芸術的な作品の製作を目指して設立された「松竹キネマ研究所」には、まだ大学生だった鈴木傳明や、のちに「時代劇の父」と呼ばれる伊藤大輔の姿がありました。製作されたわずか3本の作品中、今回は映画史的にも貴重な、記念すべき第一作を上映いたします。
『路上の霊魂』 大正10年 白黒 監督:村田實 出演:小山内薫、東郷是也(鈴木傳明)、英百合子、伊達龍子、澤村春子
■メロドラマ傑作選
今もなお世界中の映画ファンから愛され続ける二人の巨匠、溝口健二と成瀬巳喜男の最初期の名作をお届けします。
『君と別れて』 昭和8年 白黒 監督:成瀬巳喜男 出演:吉川満子、磯野秋雄、水久保澄子、河村黎吉、富士龍子 *16mm上映
■生誕110年 小杉勇
小杉勇(1904−1983)は、1925年、日活京都撮影所入社。当時流行していた「傾向映画」と呼ばれる政治思想に強い影響を受けた作品に主演し、人気を獲得。その後も、内田吐夢監督とのコンビで『警察官』や『限りなき前進』、『土』など名作を世に出し、役者としての成功を収めました。また、戦後は監督としても才能を発揮し、人気シリーズ「刑事物語」「機動捜査班」や渡哲也のデビュー作『あばれ騎士道』など、俳優としての手腕を生かした演出で活躍しました。
生誕110年にあたる記念すべき今年、偉大なる映画人の再発見という意味合いも込めて、小杉の持つ「俳優」と「監督」、ふたつの顔を存分にお楽しみいただきます。
『東京行進曲』[部分フィルム] 昭和4年 白黒 監督:溝口健二 出演:夏川静江、小杉勇、一木礼二、入江たか子、滝花久子(部分の為、登場しない場合があります)
*東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品 |
『土と兵隊』 昭和14年 白黒 監督:田坂具隆 出演:小杉勇、井染四郎、伊澤一郎、見明凡太朗、長尾敏之助 【トーキー映画】
『野戦軍楽隊』 昭和19年 白黒 監督:マキノ正博 出演:小杉勇、佐分利信、上原謙、三原純、佐野周二 【トーキー映画】
『刑事物語 殺人者を挙げろ』 昭和35年 白黒 監督:小杉勇 出演:益田喜頓、青山恭二、筑波久子、稲垣美穂子、松下達夫 【トーキー映画】
『刑事物語 灰色の暴走』 昭和35年 白黒 監督:小杉勇 出演:益田喜頓、青山恭二、沢本忠雄、清川虹子、中川姿子 【トーキー映画】
天池穂高 Amaike Hodaka
東東京芸術大学音楽学部作曲科卒、同大学院修了。フィルムセンター「小津安二郎の藝術」等の企画にて、サイレント映画の伴奏を担当。作編曲活動に加えて、バレエのレッスンピアニストとしても活動している。
神浮ヲり Kozaki Eri
国立音楽大学、パリ国立高等音楽院卒業。作曲、作曲理論、即興演奏、室内楽の学位を取得後、作曲家・ピアニスト・即興演奏家として活躍。近年は映画伴奏に力を入れており、国内外での公演多数。 個人HP
小林弘人 Kobayashi Hiroto
東京藝術大学大学院作曲科修了。サイレント映画の伴奏者として、これまでにフィルムセンター、東京国際映画祭などに出演。東京藝術大学、東京音楽大学、洗足学園音楽大学各非常勤講師。
柳下美恵 Yanashita Mie
武蔵野音楽大学ピアノ専攻卒業。映画生誕100年記念上映会でデビュー以来、国内外で活躍。欧米スタイルのサイレント映画伴奏者は日本初。洋画・邦画を問わず全ジャンルの伴奏をこなす。2006年度日本映画ペンクラブ奨励賞受賞。 個人HP
片岡一郎 Kataoka Ichiro
2002年に澤登翠に入門。克、独、濠、米、加、伊など、海外で公演を重ねる。これまでに説明した無声映画は約250本。紙芝居、書生節、声優、文筆業にも取り組んでいる。昨年のポルデノーネ無声映画祭に男性弁士として初出演。
坂本頼光 Sakamoto Raiko
2000年、弁士デビュー後、時代劇作品を主に、各所で活弁ライブを行う。これまでの説明作品は約60本。近年は自作動画を使った活弁や、声優、ナレーションの分野でも活動している。 個人HP『活動弁士の家』