稀代の名女優が歩んだ女優道
2016年3月26日(土)〜4月22日(金)
戦後の日本演劇界を牽引してきた存在であり、映画でも記憶に残る名脇役として活躍した女優・杉村春子。その凛とした佇まいと確かな演技力で、多くの女優たちから「先生」と慕われ、芝居を歩む者たちの目標とされてきました。生誕110年を迎えた今年、その偉大なる"全身女優"の名演技を、名作の数々と共に振り返ります。
■杉村春子・略歴■1906年広島県生まれ。声楽家を志して上京するも挫折、広島の女学校で音楽教師をしていた'26年、地元にやってきた築地小劇場の旅芝居を観て感銘を受け、翌年上京、同劇団の研究生となり、女優の道を歩みはじめる。
'37年、岸田國士らが創立した劇団・文学座の結成に参加。'45年、森本薫作「女の一生」が大ヒットし、主人公・布引けいは杉村の当たり役となった。その後、'90年までに900回を超える公演を成し遂げ、女優として不動の地位を確立する。
映画界でも、主演作は僅かながら、その確かな演技力が評価され、100本以上の作品に出演。'95年、その年の映画賞・女優賞を総なめにした『午後の遺言状』を最後の主演作とし、'97年死去。享年91歳。
*すべて杉村春子の出演作です。
『午後の遺言状』 平成7年 カラー 監督:新藤兼人 共演:乙羽信子、朝霧鏡子、観世栄夫、津川雅彦、倍賞美津子
『手をつなぐ子等』 昭和23年 白黒 監督:稲垣浩 共演:笠智衆、初山たかし、宮田二郎、香川良介、徳川夢声
『晩春』 昭和24年 白黒 監督:小津安二郎 共演:原節子、笠智衆、月丘夢路、宇佐美淳、三宅邦子
『めし』 昭和26年 白黒 監督:成瀬巳喜男 共演:原節子、上原謙、島崎雪子、杉葉子、小林桂樹
『大曾根家の朝』 昭和21年 白黒 監督:木下惠介 共演:三浦光子、小沢栄太郎、賀原夏子、長尾敏之助、徳大寺伸 *16mm上映
『誘惑』 昭和23年 白黒 監督:吉村公三郎 共演:佐分利信、原節子、山内明、神田隆、殿山泰司 *16mm上映
『にごりえ』 昭和28年 白黒 監督:今井正 共演:淡島千景、山村聰、宮口精二、久我美子、丹阿弥谷津子
『勲章』 昭和29年 白黒 監督:渋谷実 共演:小沢栄、佐田啓二、香川京子、岡田英次、千田是也
『千羽鶴』 昭和28年 白黒 監督:吉村公三郎 共演:森雅之、木暮実千代、乙羽信子、木村三津子、清水将夫 *16mm上映
『東京物語』 昭和28年 白黒 監督:小津安二郎 共演:笠智衆、東山千栄子、原節子、山村聰、三宅邦子
『晩菊』 昭和29年 白黒 監督:成瀬巳喜男 共演:沢村貞子、細川ちか子、望月優子、有馬稲子、上原謙
『野菊の如き君なりき』 昭和30年 白黒 監督:木下惠介 共演:有田紀子、田中晋二、田村高廣、笠智衆、小林トシ子
『流れる』 昭和31年 白黒 監督:成瀬巳喜男 共演:山田五十鈴、田中絹代、高峰秀子、岡田茉莉子、中北千枝子
『鰯雲』 昭和33年 カラー 監督:成瀬巳喜男 共演:淡島千景、新珠三千代、司葉子、木村功、飯田蝶子
『娘・妻・母』 昭和35年 カラー 監督:成瀬巳喜男 共演:原節子、三益愛子、高峰秀子、森雅之、宝田明
『女の座』 昭和37年 白黒 監督:成瀬巳喜男 共演:高峰秀子、笠智衆、司葉子、草笛光子、星由里子