神保町シアター

S33('58)／大映東京／白黒／スタンダード／1時間45分

■監督・脚本：新藤兼人■撮影：中川芳久■音楽：伊福部昭■美術：丸茂孝■出演：田中絹代、小沢栄太郎、京マチ子、望月優子、杉村春子、船越英二、乙羽信子、宇野重吉、殿山泰司

劇団民藝で舞台化された新藤兼人の戯曲「女の声」を、新藤自ら脚色し映画化した家族劇の名作。尾道を舞台に、戦争と貧困によって引き裂かれた一族が、その絆を取り戻す姿を、豪華俳優陣で描く。

＊東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品

S26('51)／大映京都／白黒／スタンダード／1時間37分

■監督・脚本：新藤兼人■撮影：竹村康和■音楽：木下忠司■美術：水谷浩■出演：乙羽信子、宇野重吉、滝沢修、殿山泰司、菅井一郎、清水将夫、英百合子

新藤が脚本家としての修行時代の経験をもとにシナリオを書き、自身の監督デビュー作とした、愛情溢れる夫婦の物語。本作に宇野が主演した縁もあり、その後、民藝と新藤共同の作品づくりは、親密度を増していった。

S31('56)／民芸／白黒／スタンダード／1時間49分

■監督：宇野重吉■原作：上林暁『病妻物語』■脚本：新藤兼人■撮影：前田実■音楽：斎藤一郎■美術：丸茂孝■出演：田中絹代、信欣三、東野英治郎、山田五十鈴、奈良岡朋子、芥川比呂志

上林暁の私小説を、民藝の俳優陣を総動員させ映画化した、宇野の記念すべき監督デビュー作。精神を病んだ妻（田中）と、その姿を小説にする作家の夫（信）の、儚くも濃密な日々を綴る。

＊16mm上映

S32('57)／日活＝民芸／白黒／スタンダード／1時間31分

■監督：宇野重吉■原作：真山美保『ああバラの花は何処に咲く』■脚本：新藤兼人■撮影：荒牧正■音楽：佐藤勝■美術：平川透徹■出演：フランキー堺、左幸子、高野通子、草山英明、滝沢修、清水将夫、中原早苗

工場勤めの五郎（フランキー）と百合子（左）は、結婚前夜のある日、遠縁の子供を四人も預かる羽目になり…。庶民の暮らしの中に芽吹く細やかな幸せを愛情いっぱいに描いた、宇野の監督第三作。

＊16mm上映

S37('62)／日活／カラー／シネスコ／1時間33分

■監督：西河克己■原作：源氏鶏太■脚本：松浦健郎■撮影：岩佐一泉■音楽：池田正義■美術：佐谷晃能■出演：石原裕次郎、芦川いづみ、水谷良重、山田吾一、藤村有弘、宇野重吉、滝沢修、東野英治郎

営業部長(宇野)を失脚させ、会社を乗っ取る陰謀があると知った若手熱血社員(石原)の奮闘と恋を描く明朗篇。生涯固い信頼で結ばれた宇野と裕次郎の関係を彷彿とさせる、上司と部下の絆に心なごむ。

S23('48)／松竹京都／白黒／スタンダード／1時間39分

■監督：木下惠介■原作：島崎藤村■脚本：久板栄二郎■撮影：楠田浩之■音楽：木下忠司■美術：本木勇■出演：池部良、桂木洋子、宇野重吉、滝沢修、菅井一郎、東山千栄子、山内明

明治時代、青年教師・丑松は自らの出自を隠して教鞭をとっていたが…。島崎藤村の名作文学を美しい抒情の中に描き、差別問題を静かに訴えかける力強い名篇。民藝、俳優座の名優達が作品を支える。

＊16mm上映

S28('53)／近代映画協会＝民芸／白黒／スタンダード／2時間22分

■監督：吉村公三郎■原作：島崎藤村■脚本：新藤兼人■撮影：宮島義勇■音楽：大沢寿人■美術：丸茂孝■出演：滝沢修、乙羽信子、宇野重吉、清水将夫、細川ちか子、小夜福子

幕末・明治の激動期、信州は木曾馬籠宿の庄屋の息子・青山半蔵が辿る波乱の生涯を、劇団民藝総出演で綴る歴史文芸大作。激変する時代の最中で苦悩する男に扮した滝沢修の鬼気迫る演技が圧倒的。

S30('55)／中央映画／白黒／スタンダード／2時間30分

■監督：今井正■脚本：水木洋子■撮影：中尾駿一郎■音楽：団伊玖磨■美術：川島泰造■出演：岸恵子、岡田英次、小林桂樹、加東大介、三井弘次、草笛光子、山田耕筰、大滝秀治

群馬県高崎市を舞台に、戦後間もない地方都市で結成された市民交響楽団の苦難を、実話をもとに描いた社会派ドラマ。のちに劇団代表となる大滝秀治は、本作で本格的な映画デビューを飾った。

S30('55)／民芸＝日米映画／白黒／スタンダード／1時間32分

■監督：蛭川伊勢夫■原作：井伏鱒二『吉凶うらない』■脚本：岸松雄、蛭川伊勢夫■撮影：前田実■音楽：黛敏郎■美術：江坂実■出演：宇野重吉、山田五十鈴、三橋達也、津村悠子、山内明、滝沢修、北林谷栄、奈良岡朋子

東京の下町を舞台に、ケチな易断所に集まる一癖も二癖もある人々の悲喜交々を描いた人情群像劇。主人公の易者に宇野、彼を密かに愛するバーのマダムを山田が淑やかに演じている。

＊16mm上映

S30('55)／民芸＝富士映画／白黒／スタンダード／1時間32分

■監督：若杉光夫■原作：上司小剣『石合戦』『天満宮』■脚本：松丸青史、吉田隆一、村山亞土■撮影：仲澤半次郎■音楽：草川啓■美術：江坂実■出演：浜田光曠（光夫）、山田五十鈴、小澤榮、奈良岡朋子、内藤武敏、高田敏江、草薙幸二郎、宇野重吉

川を挟んだ二つの集落で、子供らの石を投げ合う遊びが、村の大事件を引き起こす…。若杉監督に見出された浜田が、由緒ある神社の一人息子を演じ、鮮烈な主演デビューを飾っている。

＊東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品

S27('52)／民芸／白黒／スタンダード／1時間20分

■監督：鈴木英夫■原作：青木茂『三太物語』■脚本：大黒東洋士■撮影：渡辺公夫■音楽：斎藤一郎■出演：山田五十鈴、宇野重吉、清水将夫、細川ちか子、津村悠子、大橋弘、左卜全、滝沢修、加藤嘉

相模湖近くの山村を舞台に、小学校の新任女性教師と腕白小僧の三太ら子供達との触れ合いを描く。劇団民藝が製作した児童映画の佳篇で、宇野、滝沢、山田、加藤らがユーモラスに登場する。

S31('56)／民芸／白黒／スタンダード／1時間31分

■監督：若杉光夫■原作：住井すゑ■脚本：片岡薫■撮影：前田実■音楽：斎藤一郎■美術：江坂実■出演：遠井慶子、吉田隆、有泉圭助、乙羽信子、北林谷栄、宇野重吉、小夜福子、内藤武敏、奈良岡朋子

鬼怒川沿いの農村に暮らす四人の兄妹は、母を亡くしても、貧しさに負けず懸命に生きていく。住井すゑの代表作を、四季折々の田園風景と共に、オールロケで映画化。劇団民藝が自主製作した珠玉の感動作。

＊16mm上映

S38('63)／日活＝民芸／白黒／スタンダード／1時間33分

■監督：若杉光夫■原作：山中恒■脚本：今村昌平■撮影：井上莞■音楽：渡辺宙明■美術：岡田戸夢■出演：田中鈴子、小沢昭一、南田洋子、浜田光夫、松尾嘉代、田代みどり、新田昌玄、鶴丸睦彦

山中恒の名作児童文学を劇団民藝の製作で映画化。オンボロ長屋で暮らす人々の過酷な現実が、貧しさに抗いながら力強く生きる少女の真っ直ぐな目線で描き出される。

＊16mm上映

S34('59)／大東映画／白黒／シネスコ／1時間57分

■監督：今井正■脚本：水木洋子■撮影：中尾駿一郎■音楽：大木正夫■出演：高橋恵美子、奥の山ジョージ、北林谷栄、清村耕次、朝比奈愛子、荒木道子、岸輝子

米兵の父と日本人の母との間に生まれた姉弟が、差別に負けずたくましく生きる姿を、ユーモアを交えて綴る名作。民藝を代表する女優・北林谷栄が、二人の孫を温かく見守る祖母を見事に演じ切る。

S40('65)／大映東京＝山本プロ／白黒／シネスコ／1時間43分

■監督：山本薩夫■原作：開高健『片隅の迷路』■脚本：井手雅人■撮影：上村竜一■音楽：池野成■美術：菊池誠■出演：奈良岡朋子、福田豊土、新田昌玄、吉行和子、浜田寅彦、日色ともゑ、加藤嘉、佐野浅夫、大滝秀治

昭和28年の「徳島ラジオ商殺人事件」を題材にした社会派ドラマ。妻が夫殺しの犯人に仕立てられ、刑が確定するが…。冤罪に巻き込まれる妻役の奈良岡を始めとした民藝の俳優陣が迫真の演技をみせる。

S23('48)／松竹大船／白黒／スタンダード／1時間41分

■監督：吉村公三郎■脚本：新藤兼人■撮影：生方敏夫■音楽：木下忠司、吉沢博■美術：浜田辰雄■出演：山口淑子、森雅之、滝沢修、宇野重吉、井上正夫、清水将夫、加藤嘉、村田知英子、逢初夢子

戦後、暗黒街の用心棒に身を落した元将校と、彼に父親を殺されたダンサーの女が運命的に出会う。当時民藝に在籍した森と、本名で銀幕復帰した山口の異色メロドラマ。闇社会のドン・滝沢が圧巻。

S35('60)／日活／白黒／シネスコ／1時間36分

■監督：中平康■原作：船山馨『殺意の影』■脚本：橋本忍、中平康■撮影：山崎善弘■音楽：黛敏郎■美術：松山崇■出演：葉山良二、南田洋子、吉行和子、小沢昭一、宇野重吉、滝沢修、安部徹、山内明、下條正巳

東京近郊の貧民街で働く青年医師が、一帯を牛耳る組織の非道ぶりに耐えかねて、ある行動に出るが…。中平のシャープな演出と凝った構成が光る、社会派ミステリーの秀作。民藝の面々が要所を締める。

S50('75)／大映映画／カラー／スタンダード／2時間35分

■監督：山本薩夫■原作：石川達三■脚本：田坂啓■撮影：小林節雄■音楽：佐藤勝■美術：間野重雄、今井高司■出演：仲代達矢、宇野重吉、三國連太郎、京マチ子、中村玉緒、高橋悦史、大楠道代、西村晃、大滝秀治

総裁の椅子を争う政治家達の暗躍と、ダム建設に絡む政財界の黒い内幕。実際の汚職事件をもとに、魑魅魍魎がうごめく政治の世界を暴いた社会派巨編。名優が揃う中、金融王役の宇野の熱演が異彩を放つ。

S31('56)／日活／白黒／スタンダード／1時間39分

■監督・脚本：新藤兼人■原作：田宮虎彦■撮影：伊藤武夫■音楽：伊福部昭■美術：丸茂孝■出演：乙羽信子、長門裕之、宇野重吉、殿山泰司、河野秋武、北林谷栄、細川ちか子

成瀬巳喜男『浮雲』を思わせる男女の腐れ縁。「銀温泉」のモデルは、岩手県花巻の奥にある秘湯・鉛温泉。いまはない花巻鉄道の「馬づら電車」の姿に鉄道ファンは感涙。