これまでの特集企画
神保町シアター開館1周年記念
吉本興業と花菱アチャコ
1. 花のれん
-
監督：豊田四郎
S34('59) 宝塚映画
白黒
シネスコ
2時間9分
脚本：八住利雄
原作：山崎豊子
撮影：安本淳
音楽：芥川也寸志
美術：伊藤熹朔
出演：淡島千景、花菱アチャコ、森繁久彌、佐分利信、乙羽信子、石浜朗、司葉子、飯田蝶子
吉本興業の創業者、吉本せいをモデルに描く女の一代記。道楽者の夫と死別したヒロインが後家の踏ん張りで寄席を次々と手に入れ、遂には通天閣を買い取る。アチャコはその大番頭を演じる。
2. 桂春団治
-
監督：木村恵吾
S31('56) 宝塚映画
白黒
スタンダード
1時間48分
脚本：渋谷天外、木村恵吾
原作：長谷川幸延
撮影：三村明
音楽：原六朗
美術：水谷浩
出演：森繁久弥、淡島千景、高峰三枝子、八千草薫、田村楽太、浮世亭歌楽、田中春男、横山エンタツ
伝説の吉本芸人、女たらしの落語家桂春団治の生涯を描いた秀作。森繁演じる春団治の色悪ぶりが出色で、終幕の臨終の床の趣向も秀逸。三者三様の豪華女優陣、達者な脇役たちもうれしい。
3. 親馬鹿大将
-
監督：春原政久
S23('48) 大映東京
白黒
スタンダード
1時間21分
脚本：山本嘉次郎
原案：川口松太郎
撮影：長井信一
音楽：伊藤宣二
美術：木村威夫
出演：柳家金語楼、三益愛子、小林桂樹、益田喜頓、坊屋三郎、山茶花究、関千恵子
戦前に吉本興業の隆盛に寄与した、エノケン・ロッパと並ぶ爆笑王・柳家金語楼が、三益愛子と守銭奴夫婦を演じた人情喜劇。三益も戦前はロッパ劇団で活躍した手だれである。
※16mmで上映
4. 東京キッド
-
監督：斎藤寅次郎
S25('50) 松竹大船
白黒
スタンダード
1時間21分
脚本：伏見晁
原作：長瀬喜伴
撮影：長岡博之
音楽：万城目正
美術：浜田辰雄
出演：美空ひばり、川田晴久、花菱アチャコ、堺駿二、高杉妙子、西條鮎子、榎本健一
「地球の上に朝が来る」で一世を風靡した吉本芸人川田晴久は戦後、美空ひばりと出会い、2人のハワイ公演は空前の成功を収めた。帰国後に作られた本作は家出した女の子を持て余す演歌師の物語。
5. お父さんはお人好し
-
監督：斎藤寅次郎
S30('55) 大映京都
白黒
スタンダード
1時間25分
脚本：伏見晁
原作：長沖一
撮影：本多省三
音楽：原六朗
美術：中村能久
出演：花菱アチャコ、浪花千栄子、堺駿二、益田喜頓、阿井美千子、峰幸子、中村玉緒
戦後、吉本の一枚看板だったアチャコは、浪花千栄子とコンビを組んだNHKラジオ劇で再び爆発的な人気を得た。その番組の映画化で13人の子宝に恵まれた大家族の果物屋で展開する人情喜劇。
※16mmで上映
6. 仁鶴・可朝・三枝の 男三匹やったるでえ！
-
監督：長谷和夫
S45('70) 吉本興業
カラー
シネスコ
1時間29分
脚本：藤本義一、林禧男、長谷和夫
撮影：平瀬静雄
音楽：小川寛興
美術：梅田千代夫
出演：笑福亭仁鶴、桂三枝、月亭可朝、ミヤコ蝶々、倍賞美津子、花菱アチャコ、内田朝雄
昭和40年代に入り、吉本若手芸人が次々と全国区の人気者となっていく。この作品はその中心となった3人が、ぐうたらな異父兄弟として主演し、ミヤコ蝶々の肝っ玉かあちゃんにしごかれる。
7. ヤングおー！おー！ 日本のジョウシキでーす
-
監督：山崎大助
S48('73) 吉本興業、東映京都
カラー
シネスコ
1時間19分
脚本：檀上茂、松本功
撮影：赤塚滋
音楽：月亭八方
美術：吉村晟
出演：笑福亭仁鶴、桂三枝、西川きよし、横山やすし、岡八郎、坂田利夫、前田五郎、ザ・パンダ
桂三枝を始め、吉本若手芸人を次々とブレークさせた伝説のテレビ番組をタイトルに、日本脱出を目指す若者たちの起こす騒動を、実際の番組を絡めながら描く。公開後、幻となっていた映画の久々の登場！
8. 風流活殺剣
-
監督：丸根賛太郎
S27('52) 松竹京都
白黒
スタンダード
1時間28分
脚本：丸根賛太郎
原作：中沢●夫
撮影：竹野治夫
音楽：高橋半
美術：川村鬼世志
出演：高田浩吉、月形龍之介、高橋貞二、岸恵子、花菱アチャコ、坊屋三郎、山茶花究
自慢のプロペラ髭を剃るよう言われ、仕官を断った新吾と十兵衛に、貧乏長屋の妹や借金取りは皆がっかり。アチャコが変わり者の質屋を演じた、奇才丸根賛太郎のコメディ時代劇。
9. 初笑い寛永御前試合
-
監督：斎藤寅次郎
S29('54) 新東宝
白黒
スタンダード
1時間28分
脚本：八住利雄
撮影：友成達雄
音楽：原六朗
美術：加藤雅俊
出演：花菱アチャコ、古川緑波、堺駿二、藤間紫、益田喜頓、横山エンタツ、森川信、川田晴久、清水金一
将軍家光の御前試合に続々と参集する免許皆伝のつわものたち。マジメで親切な武芸者アチャコを中心に、大物喜劇人総出演で描く魅惑のドタバタ劇。たぶん斎藤寅次郎、戦後の最良作だ。
※16mmで上映
10. 二等兵物語
-
監督：福田晴一
S30('55) 松竹京都
白黒
スタンダード
1時間35分
脚本：舟橋和郎
原作：梁取三義
撮影：片岡清
音楽：原六朗
美術：川村芳久、加藤喜昭
出演：伴淳三郎、花菱アチャコ、宮城野由美子、山路義人、幾野道子、関千恵子、磯野秋雄
伴淳・アチャコの名コンビが中年二等兵を演じ、10作品に及ぶシリーズとなった軍隊喜劇の第1作。敗戦後10年経ち、ようやく軍隊生活を笑いに対象にできるようになった時代の大ヒット作。
11. 集金旅行
-
監督：中村登
S32('57) 松竹大船
カラー
シネスコ
1時間43分
脚本：椎名利夫
原作：井伏鱒二
撮影：生方敏夫
音楽：黛敏郎
美術：熊谷正雄
出演：佐田啓二、岡田茉莉子、花菱アチャコ、伊藤雄之助、小林トシ子、トニー谷、西村晃
家賃と慰謝料を回収するため、佐田啓二と岡田茉莉子のコンビが山陽道を下る。松竹喜劇の最高峰といえるクールで洒脱な名作。徳島の大親分を演じたアチャコも最高だ。
12. モダン道中 その恋待ったなし
-
監督：野村芳太郎
S33('58) 松竹大船
カラー
シネスコ
1時間33分
脚本：野村芳太郎、山田洋次
撮影：井上晴二
音楽：木下忠司
美術：逆井清一郎
出演：岡田茉莉子、佐田啓二、高橋貞二、桑野みゆき、桂小金治、花菱アチャコ、三井弘次、坂本武
東北・北海道への旅にでた青年のドタバタ劇を、壮絶な楽屋落ちの連発で描く超傑作なのだが、当時の松竹首脳陣は激怒し、野村芳太郎は謹慎処分となった。アチャコはハワイ帰りのお大尽役。
13. 男性飼育法
-
監督：豊田四郎
S34('59) 東京映画
カラー
シネスコ
1時間43分
脚本：八住利雄
原案：三宅艶子
撮影：安本淳
音楽：芥川也寸志
美術：伊藤熹朔
出演：淡島千景、森繁久弥、淡路恵子、花菱アチャコ、水谷良重、小林桂樹、横山道代、伊藤熹朔
ギリシャ古典劇「女の平和」を下敷きにしたお色気コメディ。横暴な夫たちを懲らしめようと3人の女が、セックス・ストライキを敢行する。アチャコは淡路恵子の年の離れた夫役。
14. 大穴
-
監督：内川清一郎
S35('60) 松竹京都
白黒
シネスコ
1時間39分
脚本：菊島隆三
原作：黒岩松次郎
撮影：太田喜晴
音楽：佐藤勝
美術：水谷浩
出演：杉浦直樹、芳村真理、花菱アチャコ、清川虹子、山茶花究、上田吉二郎、左卜全
学生のうちに一生分の稼ぎを得ようと大企業相手に株の仕手戦に挑む、覇気あり過ぎの若者を描く快作。アチャコはその父親の元相撲取りを貫録たっぷりに演じる。千両役者的な登場がうれしい。