神保町シアター

上映スケジュール

これまでの特集企画

「本の街・神保町」文芸映画特集Vol.6
松竹の女優たち


1. 春琴抄 お琴と佐助

昭和8年に発表された谷崎の傑作を、戦前の松竹を代表する巨匠島津保次郎が映画化。本格的な文芸映画の先駆けとなったヒット作。

2. 信子

九州の片田舎から東京の女子校に赴任した体育教師の奮闘記。高峰三枝子が物怖じしない明るい女教師を演じた学園ものの秀作。

3. 暁の合唱

秋田を舞台に、バスの運転手を目指す娘を、清水らしい秀逸なロケーションで描く。木暮実千代の溌溂とした制服姿が新鮮な傑作。

4. かんざし

身延山参詣客でにぎわう下部温泉の湯治客たちの人情の機微を綴る。ロケと温泉をこよなく愛した清水宏の「温泉場」ものの代表作。

5. 淑女は何を忘れたか

山の手のブルジョワ家庭を舞台にした都会派喜劇。妻の言いなりだった医者が、溌溂とした近代娘の姪に鼓舞されて反乱を起こす。

6. 戸田家の兄妹

中国に出征した小津の4年ぶりの復帰作となった家族劇。ロー・ポジションに代表される戦後の小津映画の構図が完成された名作。

7. 暖流

戦前の恋愛映画の代表作として映画史に残る名作。本作の思い出を胸に、戦地に赴いた青年数知れず、とも伝えられている。

8. 彼岸花

小津初のカラー作品で、美女たちの競演に圧倒される絢爛豪華なホームドラマの名作。本作から小津作品が松竹のドル箱となった。

9. 風花かざはな

兵役忌避の心中で生き残った女の19年間を描く。GWに開催した「木下惠介の世界」で最多入場を記録した傑作をアンコール上映。

10. 黒い河

米軍基地にほど近いアパートを舞台に、美しい娘を奪い合うやくざと大学生を描く。有馬稲子熱演、山田五十鈴怪演。やくざ役の仲代達矢の出世作。

11. からみ合い

莫大な遺産をめぐる騙し合いを描いた傑作。岸恵子のクールな美貌、武満徹の瀟洒なモダンジャズと戸田重昌の美術も素晴らしい。

12. かあちゃんしぐのいやだ

ベストセラーとなった小学生の作文を原作に、越前武生で病父を抱えた家族の日々を描く。有馬が静かな母性愛を見せる小品佳作。

13. 霧子の運命

やがて殺人犯との逃避行に及ぶ、孤独な女の生い立ちを綴る、岡田茉莉子の大主演映画。川頭が師匠木下惠介ばりの構図を見せる。

14. 渦

洋画配給会社の社長に思いを寄せる娘の存在に心揺れる社長夫人。岡田と佐田の黄金コンビに、まだ新人の岩下が共演した心理劇。

15. 愛情の系譜

米国留学から帰り、仕事に打ち込む女がふとしたことから死んだはずの父の存在を知る。名匠五所と岡田のコンビによるメロドラマ。

16. もず

場末の小料理屋で働く母と、彼女を頼って松山から上京した娘が繰り広げる苛烈な愛憎劇。豪華女優陣の乗りに乗った演技が見もの。

17. 好人好日

奈良を舞台に、変わり者の数学者一家の文化勲章受章騒動をコミカルに描く。主人公の数学者は岡潔がモデル。岩下が一人娘を好演。

18. 黒い花粉

有馬演じる奔放な重役令嬢が、様々な事件や出会いを経て人間的に成長していく。先読みできない波瀾万丈な展開で描かれた恋愛劇。

19. 離愁

多感な女子大生の姪を救った男は、かつてヒロインが恋愛感情を抱いた陶芸家だった。大人の恋の心理の綾を繊細に描いた作品。

20. 女舞おんなまい

美貌の新進舞踊家が、教えを請うた天才能楽師に心奪われてしまう。日本舞踊と能楽の世界を舞台に描かれた艶やかな芸道もの。

21. 熱愛者

岡田茉莉子自身が映画化権を取得し、キャスティングも行った初プロデュース作品。音楽評論家とデザイナーの激しい愛を描く。

22. 早春

小津にとって唯一の岸恵子出演作品。戦後の若いサラリーマンたちの生活に焦点を当て、子どもを亡くした夫婦の危機を描いた名作。

23. 東京暮色

父と娘二人で暮らす家族と出奔した母の物語。生きることの哀切をしみじみと描いた作品で、その暗さが大きな魅力となった名品。

24. 秋刀魚の味

小津の遺作となった作品で、妻に先立たれた初老の男が末娘を嫁がせるまでを描く。演技陣のアンサンブルの妙はまさに至福の境地。

25. 東京マダムと大阪夫人

『幕末太陽伝』が有名な川島雄三の松竹時代の最高傑作。東京郊外の社宅が舞台のコメディで、独身飛行機乗りの高橋貞二がケッサク。

26. 鑑賞用男性

パリ帰りの美人デザイナーが提唱したキテレツ男性モードを制服に採用した会社の悲劇。実際にパリ帰りの有馬のコメディ演技が秀逸。

27. 恋の画集

結婚資金に悩む婚約者が、ゆすりのネタに見つけた不倫カップルはヒロインの上司だった。野村芳太郎の代表作に数えたい傑作喜劇。

28. あかね雲

昭和12年頃の山代温泉が舞台の、愛した男が脱走兵だった女の物語。篠田正浩の独立プロ表現社の第1作となった哀切な秀作。