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2016.1.22

新たな青春小説の名手誕生☆ 箱根駅伝の後にはこれが読みたい! 『タスキメシ』

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新たな青春小説の名手誕生☆ 箱根駅伝の後にはこれが読みたい! 『タスキメシ』

 青山学院大学が二連覇した箱根駅伝の激闘が記憶に新しいですが、その余韻冷めやらぬうちに読んでほしい小説が『タスキメシ』。著者は2015年『ヒトリコ』で第16回小学館文庫小説賞受賞、その3週間後に『屋上のウインドノーツ』で第22回松本清張賞を受賞し話題になった額賀 澪氏。彼女がデビュー後初の書き下ろし長編でテーマに選んだのは“駅伝”。それもそのはず。額賀氏は「大の駅伝好きで6歳の頃から、毎年かかさず観戦。大学駅伝の予選には、毎年必ず訪れ、箱根駅伝は録画を何度もリピート。先日受けた箱根駅伝のムックの取材では、その駅伝への知識と愛に、取材する専門誌の担当の方も舌を巻いていました」(担当編集)とのこと。

 

 舞台は部活動が盛んな神野向(かみのむかい)高校。陸上部・長距離チームで活躍する眞家早馬(まいえそうま・高3)は、右膝を剥離骨折し、現在リハビリ中。同じ陸上部の長距離チームに所属する弟・春馬も有望株だ。ある日、料理研究部の井坂 都と出会った早馬は、彼女がつくった「アスパラガスと里芋と豚肉の照り焼き炒め」にいたく感動。その料理をお裾分けしてもらい、自宅に持ち帰ると、偏食の弟・春馬がすべてたいらげた。この出来事をきっかけに早馬は料理に没頭していく。しかし、早馬が陸上部に戻ってくることを切実に待っている春馬は面白くない。あきらめるのか? 続けるのか? ふたりのタスキとメシの行方はいかに・・・?

 

 新たな青春小説の名手誕生! 早馬、春馬兄弟はもちろん、ライバルであり親友の助川、心に傷を抱える都・・・それぞれの絆や思い、汗と涙と友情に涙が止まらない。駅伝の描写はもちろんのこと、料理の描写も見事で、読んでいると、食べたくなること間違いなし。駅伝を好きな人はもちろん、そうでない人も。思い通りにいかない人生とどう折り合いをつけて生きていくのか。そんな大切なテーマを温かい涙と共に届けてくれます。読後、心に爽やかな風が吹き抜ける快作です。

 

『タスキメシ』

著/額賀 澪

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