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2016.2.18

ネコノミクス真っ只中の今、読むべき「猫文学」の傑作! 『九死一生』

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ネコノミクス真っ只中の今、読むべき「猫文学」の傑作! 『九死一生』

「もしもあなたが誰かを本気で愛したら、行き着く先には悲しみがある。悲しみ以外のものはない。なぜならあなたの愛した者は死ぬ。それでも誰かを夢中で愛したあなたは救われる。私にそのことを教えてくれたのは、一匹の猫だった……」

 

 4年と5か月前、愛猫プリンを失った夫婦、冴子と悠紀夫。彼らがアメリカで暮らし始めてから十数年間、プーちゃんは夫婦にとって子どものような存在だった。喪失感で枕を涙で濡らし続ける日々。悲しみに暮れる悠紀夫の姿を目にするたび、冴子は別れをすべきか、否かについて、思いを巡らせていた。別れてしまえば、悲しみは半分になるのではないかと・・・。

 

 著者がかつて経験した愛猫喪失の感情を基にして書かれた小説。九死一生=9回死んで9回生まれ変わる。プリン、光一、ムー、マギー、ウミ、ミノ、マロウ・・・生と死を繰り返しながら人々を運命的に結びつけていく猫の姿を描くことで、深い悲しみを昇華していく。

 

「寂しいと思えることこそが幸福の証なのだ。寂しい、イコール、愛なのだ。なんてシンプルでわかりやすいのだろう。この世には、長い年月が経たないとわからないこと、というのがあって、愛とは何か、は、その最たるものなのかもしれない」。本気で何かを愛す前と愛した後。"出会い"と"別れ"を"生"と"死"とするのなら、恋をするたび、きっと人間も生まれ変わる。良質なロード―ムービーを観たときのような読後感が心地いい。最愛の猫を失った夫婦をとおして、"喪失"と"再生"を描いた猫小説の傑作!

 

小学館文庫

『九死一生』

著/小手鞠るい

 

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著/小手鞠るい

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