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2016.6.23

10年後でも売れたワケ。『ドスコイ警備保障』の“重版出来!”から学ぶべきこと。

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10年後でも売れたワケ。『ドスコイ警備保障』の“重版出来!”から学ぶべきこと。

きっかけはエキナカ書店の女性店員さん!

 

 2006年に小学館文庫の一冊として、ハッケヨイ! と発売されたエンターテインメント小説『ドスコイ警備保障』が、10年たってもノコッて! 白星街道ばく進中!!  じつは本作、立ち合いの反応が鈍く、発売当初の売り上げは地味でした。著者は、『都立水商!』『史上最強の内閣』 『史上最強の大臣』などヒット作を多数放ち、根強いファンを持つ人気作家・室積光なのに・・・。中身がつまらなかったのでしょうか?  そんなことはありません。他作品同様、こちらも面白さてんこ盛りのエンターテインメント小説なんです。

 

 なぜ売れないんだ?  関係者が皆、疑問に思っていましたが、発売10年にして、ちょっと風向きが変わってきたのです。 きっかけは、品川駅構内にある、エキナカ書店「BOOK EXPRESS品川店」の女性店員さん。本著のおもしろさに惹かれた彼女は、この本をもっと多くの人に知ってもらいたいと、店頭に陳列すべく発注をかけました。「発売からかなり時間の経ったこの本をなぜ、今ごろ?」と注文を受けた営業担当者は不思議に思ったそうですが・・・。彼女の提案どおり、昨年2015年11月よりコーナーをつくり、仕掛け販売を開始! 当初は10部単位の発注だったのでしたが、これが売れたのです。というより跳ね上がりました!!

 

 その後、仕掛け販売はJR東日本のBOOK EXPRESSチェーン全体に拡大! さらに今年3月からはエキナカを飛び出して、一般書店にも展開されました。本書は刷りを重ね、現在12刷。5万部を突破し、いまなお絶好調のロングセラーに!

 

 面白い素材・商品はあるのです。でも、売れるかどうかは別問題です。『ドスコイ警備保障』という、ともすれば、限定的で男っぽく聞こえるタイトルの本を、女性店員さんが読んでくださったこと。その魅力に気づき、発信してくださったこと。それが、この小説をさらなるエンターテインメントに引き上げた要因のひとつだと思います。

 

女子の相撲ブームと

スポーツ選手のセカンドキャリア問題

 

 本書が売れたもうひとつの要因として考えられるのは、時流との合致!  "スー女"、"相撲女子"、"土俵女子"という言葉が生まれるほど、今、女性の間で相撲好きが急増しているのです。また、本書では、食えなくなったお相撲さんが警備会社を立ち上げる姿を描いており、戦力外通告を受けたプロ野球選手を追ったドキュメント番組が放送されたり、引退した選手が逮捕される事件が起こるなど、スポーツ選手の"セカンドキャリア"に注目が集まっていることとも関連があるのかもしれません。

 

 売れるものはあっても、誰もが気がつくわけではありません。その魅力に誰が気づき、"今という時代"と照らしながら、どんなメッセージを広げていくのか? その重要性を再認識した"重版出来!"事案でした。

 

小学館文庫

『ドスコイ警備保障』

著/室積光 

関取になれなかったお相撲さんはどうやって食べていったらいいの? ちゃんこ屋以外に何ができる? そうだ、「警備会社」を作ればいい! 涙アリ、笑いアリ、移動中にサッと読める展開の速さ! ギョーカイの裏事情、アスリートのセカンドキャリアについて考えさせられつつも、爽快でハッピーな読後感。ラストで語られる「運」と「努力」の話には、人生を豊かにする秘訣がつまっています!

 

合わせてこちらも読みたい!

小学館文庫

『埋蔵金発掘課長』

著/室積光

市長、本気か!? 財政破綻目前の日照市の市長が画策したのは、埋蔵金の発掘だった! 密命を受けたのは、早期退職して故郷に帰ってきた元・広告マン。彼を中心とした異能集団が、地下から発掘したものとは? 荒唐無稽なのに、「笑って泣けて考えさせる」室積ワールドは今回も健在! 「やはり人生にはロマンがなくては!」という気持ちにさせられる最強のエンターテインメント小説!

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