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2016.6.24

歌舞伎では、ペアルックで登場したら心中する!? 『バイリンガルで楽しむ 歌舞伎図鑑』

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歌舞伎では、ペアルックで登場したら心中する!?   『バイリンガルで楽しむ 歌舞伎図鑑』

歌舞伎の世界展開が本格化!

 

 今年5月にラスベガスで行なわれた歌舞伎公演「獅子王」。最先端の映像技術を使った演出が話題になるなど、今、歌舞伎の世界展開が本格化している。松竹は昨年8月にも、市川染五郎さん主演の歌舞伎ショーをラスベガスで催した。演じたのは「鯉つかみ」。3日間5回公演で10万人が会場に足を運んだ。

 

 歌舞伎ファンが広がりをみせる一方で、その奥深さを海外の方に伝えるのは難しい。しかし、歌舞伎のことを知りたい! というニーズは高まっている。そういった要望に応えたのが、この『バイリンガルで楽しむ 歌舞伎図鑑』です。

 

  「既刊の『歌舞伎のかわいい衣裳図鑑』 『歌舞伎のびっくり満喫図鑑』をご覧になった外国の方々から、この本を見て歌舞伎に興味を持った、これが英語で読めればいいのにという声をたくさんいただきました」(担当編集)

 

  『歌舞伎のかわいい衣裳図鑑』『歌舞伎のびっくり満喫図鑑』は、演目がわからなくても、役者さんを知らなくても、"眺めるだけで楽しい"歌舞伎案内書。この2冊を1冊にまとめて再編集し、全文に英訳を付けました。日本語もしっかり入っているので、歌舞伎のことを知りたい日本人にもピッタリ。

 

 著者は、着物・和雑貨・歌舞伎などをテーマに執筆されている君野倫子さん。和モノをプロデュースするディレクターでもあり、日本文化のキュレーターとしても活動している。上記2冊を出版したあと住まいをアメリカに移した君野さんは、海外の方に歌舞伎のすばらしさを伝えたくとも伝えられないもどかしさを感じていた。

 

  「海外の方にも読んでいただける歌舞伎の本を作りたいと思い続けてきました。‥‥‥この本は先の2冊のエッセンスを凝縮し、初めての方にも見て楽しめて、かつ歌舞伎の奥深さを感じていただける本になっています。あらためて日本人にとっても、日本を訪れた海外の方や海外にお住まいの方にとっても、この本が歌舞伎という美しい世界への入り口となりますように。」(君野さん)

 

 英文タイトルはPhotographic Kabuki Kaleidoscope: in Japanese and English (歌舞伎の写真万華鏡:日英バイリンガル)。

 

 この英文タイトルのとおり、万華鏡の中をのぞいたかのように、各ページ、歌舞伎の衣裳、かつら、髪飾り、小道具、大道具、舞台の豊富な撮り下ろし写真で色彩豊か。英文解説と読み比べてみるのも面白い。

 

 ちなみに本書には、役者の着けている衣裳、かつらなどの違いや特徴、男女がペアルックで登場するときは、ふたりが心中することを暗示している、といった舞台の決まり事など、思わず「へえ!」と言いたくなるネタも盛り沢山。

難しいことはさておき、見て楽しく、とことん歌舞伎の世界に浸れる一冊。

 

『バイリンガルで楽しむ 歌舞伎図鑑』

著/君野倫子  監/市川染五郎  訳/大島 明・マーク

市川染五郎

1979年、三代目松本金太郎で初舞台。1981年、七代目市川染五郎を襲名。屋号は高麗屋。立役から女形までこなす、次世代を担う歌舞伎役者。『勧進帳』をはじめとする古典歌舞伎はもちろん、復活狂言、新作歌舞伎の創作にも積極的に取り組み、2015年、ラスベガスでは初となる歌舞伎公演を成功させる。歌舞伎以外の舞台、映画、テレビなどの出演も多数。日本舞踊松本流家元・松本錦昇としても活躍。

君野倫子

着物、和雑貨、歌舞伎などをテーマに書籍、雑誌、新聞などで執筆する文筆家。着物、和雑貨などの商品企画、プロデュースを手がけるディレクター。古き良き日本文化を現代の感覚で楽しむことを提案。2010年に渡米、イベントや海外向け商品開発など、日本文化キュレーターとして日本文化を海外に紹介する活動も展開。

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