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2016.9.13

「ニュー・シネマ・パラダイス」の名匠トルナトーレが小説家デビュー! 『ある天文学者の恋文』

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「ニュー・シネマ・パラダイス」の名匠トルナトーレが小説家デビュー! 『ある天文学者の恋文』

名監督ジュゼッペ・トルナトーレが小説家デビュー!

 

  「ニュー・シネマ・パラダイス」「海の上のピアニスト」などで知られるイタリア映画界屈指の名監督ジュゼッペ・トルナトーレ。映画の脚本のほとんどを自ら手がけてきた彼が、この秋公開の映画「ある天文学者の恋文」で、小説家デビューしました!

 

  ‹‹映画は本から生まれるが、本書の場合はちがう。みなさんが読もうとしているのは、同じ名前の映画から生まれた小説なのだ。映像が奪った優位を書き言葉にとりもどすためのまたとない機会だった。映画のスクリーンではほのめかすにとどめたものを解き放つよい機会だった。僕にとっては、あっちの作品を言葉にし直す作家の仲間入りができて幸運だった。風のような心地よさにもとくべつに恵まれて››

 

  「ニュー・シネマ・パラダイス」で映写技師、「海の上のピアニスト」で音楽家、「鑑定士と顔のない依頼人」では美術鑑定士など芸術にかかわる人たちを描いてきた彼が本作の主人公に選んだのは、天文学者のエドと教え子で恋人のエイミー。

 

  ‹‹エドは予見する力、少なくともできごとを見越す力を、あらゆるものから与えられているようだった。だから、世界を支配し、世界を動かすものがいつどのように変わるのかを、彼は見通すことができた。

   エドのやり方は基本にそっていた。偶然というものがあるのを知っていて、恐れることなく立ち向かう。ふつうの人びとは偶然を見ないふりをして、どんな結果にも必ず原因があるかのように動く。まるで現実が軌道の上だけで動き、それることがないかのように。

   エドの世界では、どのような状況であっても、偶然が起きる可能性があった。小さなものであれ、わたしたちの未知の力がひき起こす偶然の可能性だ。それを彼はどこででも計算することができた。だからこそ、どこにでも先まわりする力がエドには与えられていた。

   だれかが到着しようとしているとき、彼はもうそこにいる。エドはあらかじめ頭を働かせて、実際に起きそうなことを知り、だれかが先に言いそうなことがわかるから、自分が何を言うべきかがわかる。科学を知る本当の魔術師だ››

 

この世に存在しないはずの恋人から届くメッセージ

 

 

 ある日、授業を受けているエイミーのスマホに、エドからメールが届く。そしてまさにそのとき、教鞭を執っていた教授からエドの訃報が知らされる。混乱するエイミー。しかしその後も、折にふれて、この世に存在しないはずのエドから愛にあふれたメールや手紙が届く。

 

 次第に明かされていくエドのメッセージの本当の目的と、エイミーの過去の秘密。

 この世を去るとき、私たちは、家族、友人、恋人たちに何を遺せるのか?

 死してなお、つながり続けることはできるのか?

 地球に光を届ける星々のように、愛する人を照らし続けることはできるのか?

 巨匠みずから筆をとった美しく切ないミステリー。

 

「無限の愛とは何か。答えがない深遠な問いの奥底を、星の瞬きで照らしてくれる」(作家・小川洋子さん)

 

映画「ある天文学者の恋文」

9月22日(木・祝)TOHOシネマズシャンテ他全国順次ロードショー

ⒸCOPYRIGHT 2015 - PACO CINEMATOGRAFICA S.r.L.

エドには英国の名優、ジェレミー・アイアンズ。エイミーには、『007 慰めの報酬』のオルガ・キュリレンコ。エジンバラ~イタリア湖水地方の美しいサン・ジュリオ島を舞台に、エンニオ・モリコーネの心のひだに触れる優美な旋律にのせて描く。

 

 

小学館文庫

『ある天文学者の恋文』

著/ジュゼッペ・トルナトーレ  訳/中村浩子

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