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2016.10.28
「作家としてのライバルは、村上春樹」。つぶやきシローの告白(1/2) 『私はいったい、何と闘っているのか』
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キーワード: 小説 タレント エンターテインメント 村上春樹 お笑い
"あるある"で磨き上げた観察眼が小説でもキラリと光る!
Twitterフォロワー数、約70万人のお笑いタレント、つぶやきシローさん。
つぶやき芸を軸にしたアクの強いキャラクターで、ナレーション、絵本などお笑い以外にも活躍の場を広げている彼が、その"個性"と"卓越した観察眼"で、小説家としても本領発揮!
中年男の悲哀がじわじわくる小説『私はいったい、何と闘っているのか』は、彼にしか書けない、「くっだらないけど、どこまでも本気で、笑えて泣ける」傑作だ。
「やっと書き方が見えてきたかもしれない」と語る、つぶやきシローさんの作家!? としての素顔を覗いてきました。
SOL:『私はいったい、何と闘っているのか』読ませていただきました。ここまでご自身の"芸風"が色濃く出ている小説って新鮮です。
つぶやきシロー(以下:つぶやき):あ、そうなんですか。自分ではよくわからないんですけど。
SOL:絶対にゴーストライターではないだろうな、と思いました。
つぶやき:えっ!?「実はオレが書いた作品じゃないから、よくわからないです」って。そんなこと、あるんですか? そんな小説家います? それ、インタビュアーの方、驚きますね。今回はオレが書いてます。もしゴーストだったら面白かったですか? そしたら、インタビューが成立しないですね。
SOL:自分で書いたとなると、書き上げるのに、かなり苦労されたんじゃないですか?
つぶやき:どのへんで、そう感じました?
SOL:一文一文"あるある"が満載で、すごく中身が濃かったので。
つぶやき:ありがとうございます。前作「イカと醤油」よりは薄くしたはずです。というか、なっているはずです。前作のときも言われましたね、内容や情報が多いって。すらすらと読めないって。俺はそれでいいと思うんです。イッキに読めるのが、いい本だとは思わない。とは言っても、反省もあります。つめがちなんですね。ネタもなんですけど。つけ麺の濃いタレって飽きるじゃないですか? 大盛りだと。だから、前回の反省を踏まえて、今回は少しだけライトにしました。それでも、濃かったですか? でも、そう言われることは嬉しいです。
SOL:一人称のつぶやき節、ラストまで堪能しました。
つぶやき:よかったです。前回は間に入れるヤツ、三人称ですか? あれで書きましたが、今回は一人称にしました。小説の書き方とかよくわからないんですけど、このほうが楽ですね。前は面倒くさかった。ようやく自分の形ができてきたと思います。
SOL:毎日"あるあるネタ"をつぶやくTwitter(@shiro_tsubuyaki)が大人気です。その積み重ねが小説を書くときに役立ちましたか?
つぶやき:あれ、もうイヤなんですよ。「やってみましょう、10日くらいだったら大丈夫です!」って、はじめて7年になります。最初は雑誌の企画だったんですけど、そのうちフォロワーが増えちゃって。やめられなくなって。だいたい、いつも酔っぱらって書いてます。だから、ヘンなこと書いてないかな、って毎回心配になりますけど。その反面、炎上してアカウント停止になってしまえば、やめられるかも、なんて気持ちが頭をよぎることもあります。だから、きっと酔っぱらってから書いているのかなー。なんで毎日こんな苦労しなきゃならない! タダ働きで! でも、いいですよね、ああやって毎日続けることって。
SOL:芸人つぶやきシローとしては、作家つぶやきシローをどのように位置付けていますか?
つぶやき:なんにもないですよ。小説のこととか何もわからなくて、こういう書き方しかできません! って、書いているだけで。そもそも、作家としての位置付けどころか、お笑いとしての位置付けもないですからね。両方ないですよ。
SOL:目標とされている方はいますか?
つぶやき:目標も位置付けも何もないですよ。職業作家の方と張り合おうなんて思ってないですし、作家としてのキャリアを築こうとも思ってないです。文章だって、プロの人から見たら、なってないと思いますよ。
SOL:ライバルとかいないんですか?
つぶやき:えっ、さっきから何を言わせたいんですか? 「ライバルは村上春樹」って言えばいいんですか? 逆に、他の人、言わないから、言っちゃいましょうか?
SOL:それ、見出しにしていいですか? 「作家としてのライバルは村上春樹」って。
つぶやき:村上春樹さんも笑っちゃうと思いますよ。もっと名の知れた方が言ったら、もしかしたらカチンとくるかもしれないですけど。オレなんかが言ったら、まず、つぶやきって誰だ? ってなりますよ。くれぐれもご本人とファンの方に失礼のない書き方をしてくださいね。でも、名前を出した時点で失礼ですよね。うーん、ライバル・・・アガサ・クリスティでもいいですよ。あの人、作家ですよね?
SOL:では、影響を受けた作家や作品はありますか?
つぶやき:それがいないんです。誰かの影響を感じますか? 俺はあんまり本を読まないんで知らないんです。もしかしたら、気づいていないだけで、誰かから影響を受けているかもしれませんが・・・。
ライバルはいない。誰かの作風に似ているわけでもない。『私はいったい、何と闘っているのか』は、つぶやきシローさんの分身のような男が、仕事に、家族に、もがき続けるさまを描いた、喜怒哀楽さまざまな感情が湧き出てくる人間ドラマです。
<撮影/国府田利光>
著/つぶやきシロー
伊澤春男、45歳。スーパー勤務。一見平凡な日常は、きょうも彼の脳内で戦場と化す――。
家に遊びに来た長女の彼氏にいいところを見せるために考えたヘネシー作戦とは?
息子を野球とサッカーの史上初の二刀流に育てるための前代未聞の秘策とは?
そして、念願のスーパー店長への長く険しい道の果てに待っていた、予想外の結末とは?
七転八倒中年男の笑いと涙のサバイバル人生劇場。
カバーイラスト、西加奈子氏。
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