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2018.2.16

今この国に必要なのは「老人学」の再教育!曽野綾子が説く『人生の退き際』の美学とは?

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今この国に必要なのは「老人学」の再教育!曽野綾子が説く『人生の退き際』の美学とは?

幕引きのために精神を備えよ

現代社会において長寿は本当に寿がれることなのでしょうか。

高齢ドライバーによる自動車事故、福祉施設での虐待事件――これらは有史以来、初めて経験する「超高齢化社会のひずみ」なのです。

そのひずみは政治や法律、社会制度で解決できるたぐいのものでもありません。

これからは老人自身が、人間として尊厳ある「生涯の退き際」を迎えるために、心身を備える必要があるのです。

「高齢者の生き方」について、作家・曽野綾子氏は言います。

 

‹‹新しく高齢者になった世代は、謙虚でもなく、かわいくもなく、実に学ばない。老人はどのようにしたら端に迷惑をかけないか学習する必要がある。老人学の再教育の確立も今や必要なことだろう››

 

曽野氏は家族を自宅で看る道を選びました。

最大の理由は、財政面でも、労働力を供給する面でも、若い人手を借りて介助を行うことが、国家にとって不可能だと感じたからです。

 

‹‹人は適当な時に死ぬ義務がある。ごく自然にこの世を辞退するのだ。それで初めて私たちは人間らしい尊厳を保った、いい生涯を送ったことになる。››

 

86歳を迎え、「この世を辞退する」覚悟のもと、品位ある生き方と老い方を説きます。

ほかにも、著者が出会った誠実で強烈な個性の人々との思い出、夫の死後に飼い始めた愛猫「直助」との温かな生活の様子、豊かで贅沢な国に慣れた日本人が陥る「体験不足からくる無知」への批判などを著述。

「長く生きる」ことだけを目的とせずに、「善く生きる」ための箴言に満ちた一冊です。

どのページを開いてもその言葉に叱咤激励され、背筋が伸びます。

 

小学館新書

『人生の退き際』

著/曽野綾子

 

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