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2018.3.26

落語界を揺るがした問題作が復刊!! 『師匠、御乱心!』

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落語界を揺るがした問題作が復刊!! 『師匠、御乱心!』

激怒! 困惑! 称賛! 罵倒!「まさかここまで書くとは」

 

「もう決めた、あたしゃ、伝家の宝刀を抜く!」

昭和53年、名人・三遊亭円生は、柳家小さん率いる落語協会の真打ち量産体制に異を唱え、一門を率いて協会を脱会!

この騒動に落語界は大揺れし、円生の弟子たちは翻弄されました。

当時、自身が見た真実をどうしても書かずにおられないと、弟子の一人で騒動の最大の被害者でもある円丈が書き上げたのが、本書です。

 

‹‹あの当時の事件の当事者達もかなり亡くなり、人々はあの事件をすっかり忘れてしまった。だが俺は、事件のことを何時か書いておかなければと思っていた。

事件が起こり、再び落語協会に復帰するまでの暗かった一年半を!

あの事件当時のマスコミが報道したコトと渦中に巻き込まれた当事者の一人として感じたとてつもない大きな隔たりと!

一般の人の分裂騒動に対する認識と俺が知り得た全ての情報をもとにして得た認識が百八十度違う事実を!

ぜひ書かねばなるまいと思っていた。いや、あの事実を語らずに貝のように口を閉ざして死にたくないという執念のような気持だ。それ故、俺にとっては長編の四百枚の原稿をわずか二十日ばかりで書き上げてしまった。

本編に書いた九十五パーセントは事実だ。そして四パーセントはこまかい言い廻しや、構成順序でのわずかな違いだ。そして残る一パーセントにギャグを入れただけだ。››(著者「まえがき」より)

 

見たまま、感じたままを、忖度なく実名で書き綴った赤裸々な本書は、刊行当初、世間を騒がせ、関係者を困惑させ、あるいは激怒させました。

その問題作を、30年あまりの時を経て復刊!!

 

この間、立川談志、古今亭志ん朝、先代三遊亭円楽ら、登場人物の多くが鬼籍に入りました。

一方、本書の文芸としての価値は見直されることに!

作家・夢枕獏氏は、本書の解説にこう書いています。

 

「ただ、体験したことを書くというだけでは、とてもここまでのものは書けない。

三遊亭円丈は、おそるべき天才である。

一方の極に、又吉直樹の〝火花〟があるなら、もう一方の極に、三遊亭円丈のこの『御乱心』があると言っていい」――夢枕獏

 

文庫化にあたって、「あとがき」に後日譚を書き加えました。

さらに三遊亭円楽・小遊三両師をまじえ、騒動のその後を語った「三遊鼎談」を収録!!

最初に『ご乱心』が出たときの衝撃を円楽さんと小遊三さんはこう言っています。

 

小遊三 それはもう、初めてエロ本をよんだようなもんですよ。おおっぴらには読めないし、見てはいけないものを見ているようでドキドキするし。当時、僕はもう「笑点」メンバーに入ってて、(先代の)円楽師匠がトップだったから、「おもしれえな」と思っても、言えないですよ、そりゃあ。

円楽 うちの師匠のことを悪く書いてあるって聞いてたから、読めばきっと不愉快になると思って俺は読まなかった。何が書いてあっても、それは人の意見だし、読まなきゃ知らずにすむわけだから。ちゃんと読んでれば、何かいったかもね。

 

弟子たちに広がる疑心暗鬼、崩壊する師匠との絆、そして、訪れる突然の別れ。

落語界を揺るがした大騒動の一部始終を内側から鋭く描いています!

 

小学館文庫

『師匠、御乱心!』

著/三遊亭円丈

 

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