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2018.7.5

走れば走るほど、日常が壊れていく戦慄のランニングミステリー。『溺れる月』

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走れば走るほど、日常が壊れていく戦慄のランニングミステリー。『溺れる月』

平凡な公園ランナーが駆け抜ける闇の世界

どこを歩いていても、ランナーの姿を見かけるほど、広がり続けるランニングブーム。

今年の東京マラソンの倍率は12.1倍になり、2007年第1回の3.1倍から4倍に跳ね上がっています。

皇居に、駒沢オリンピック公園に、お台場に、あの人たちは毎朝、毎晩、なぜ走るのでしょう?

健康のため、楽しいから、マラソン大会に出るため・・・などの理由があると思いますが、実は気づかないうちに、走ることそのものが目的となっているランナーも多いのではないかと思います。

 

本書の主人公はそんなランニングの魔力にとりつかれた男です。

 

‹‹肌を突き刺すような寒風がゆく手を阻んだ。息を吸うと、鼻の奥がつんと痛む。目頭にうっすら滲んだ涙が、街灯の明かりを無駄にきらめかせた。

下りの坂道だが、向かい風でスピードは上がらない。しかし、ここで無理にペースを上げる必要はなかった。風に逆らうことなく力を温存し、ラストスパートに備えたほうがいい。吐き出した白い息が、あっという間に後方に飛びすさった。高木は坂を駆け下りながら、道なりに左に曲がる。公園の南端から東端に入った。

見えた。

先をいく小野里の後ろ姿を捉えた。街灯の下で、蛍光グリーンのTシャツが映えていた。距離にしてほぼ二十メートル。差は開いてなかった››

 

元官僚で妻の父の会社を継いだ高木雅弘は、所属するランニングサークルの仲間たちと行なっている「賭けレース」にハマっていた。

ある日、高木のもとに「明日のレースには負けなさい。さもなければ、ひとが死にます」と書かれた一通の郵便が届く。そして翌日、高木がレースに勝つと、さっきまで走っていた公園内で本当に男の死体が発見される。しかもその男は大学時代の同級生だった――。

これは偶然なのか、それとも・・・・・・。

走れば走るほど、日常は壊れ、運命は狂っていく――――。

 

爽やかなはずのランニングの世界が〝イヤミス〟に。

気がつけば常軌を逸するほど、ランニングに〝溺れていく〟主人公の描写が凄まじい。

 

「走る男を主人公に、ヒリヒリする物語を書きたかった」

江戸川乱歩賞作家が放つ、戦慄のランニングミステリー!!

 

小学館文庫

『溺れる月』

著/新野剛志

 

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