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2019.1.3
駅伝は速い者が強いわけではない!故郷と選手の思いをつなげ!小学館文庫『白をつなぐ』
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駅伝は箱根だけじゃない!
「都道府県対抗駅伝」には〝これぞ駅伝〟という面白さが詰まっている!
駅伝がいちばん盛り上がるシーズン到来!
元日の「全日本実業団対抗駅伝大会」。
1月2日、3日開催の「東京箱根間往復大学駅伝競走」。
さらには、2019年の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」に、箱根駅伝の創設者、金栗四三(かなくり・しそう)が登場するなど、例年以上に盛り上がること必至です。
1月の第3日曜日、ニューイヤー駅伝と箱根駅伝の余韻が冷めやらぬうちに、開催されるのが「全国都道府県対抗男子駅伝」。
開催地の広島では、地元の県人会などが応援合戦を繰り広げるなど、おおいに盛り上がり、各区間では、箱根駅伝のスターたちが故郷のチームとして参加するなど、見どころも多い大会です。
駅伝の感動と見どころがぎゅっとつまったこの大会の魅力を、児童文学作家として一作ごとに新しい世界に挑み描き上げてきた坪田譲治文学賞受賞作家、まはら三桃さんが描きます。
物語の主人公は、福岡県代表の選手たち。
中学生、高校生、大学生・社会人の7人の年代の違う選手たちが、ひとつのチームとして、故郷のたすきをつないで戦います。
‹‹正月四日。今日は全国男子駅伝の福岡チームの合宿初日である。合宿は一泊二日。
毎年一月の中旬に行われる全国男子駅伝大会は、都道府県対抗駅伝だ。都道府県ごとに、中学生から社会人までがたすきをつなぐ。女子は京都で、男子はその一週間後に広島で開催される。
選考会で選ばれた中高生と、指導者が話し合って声をかけた大学生と社会人が県代表のチームを作り、四十七チームが競い合う。
今日は、大会に出場する中学生と高校生の最終選考レースが行われた。選考はついさっき終わり、今は補欠を含めた選手たちが、千メートルを一本走っているところだ。
指導者たちも、そろってそれにつきあっている。男子の担当は三人。監督の熊沢、コーチの澄川佑太と、小野仁がこの大会の指導に当たることになっている。
選手のほうは補欠を入れて十名。社会人大学生が三名と、高校生が四名、中学生が三名という内訳だ。中高生にしてみれば、県の威信を背負うプレッシャーもさることながら、あこがれの選手と一緒に走れる緊張感が強かろう。いや、毎年、特に中学生は気の毒なほどに強張っている。ふだんはテレビでしかお目にかかれないビッグなアスリートと走れる緊張と興奮で、初日の練習など、石の地蔵のようになっているものだ。››
ランナーひとりひとりの思いと、彼らを支える家族や指導者たちの思いを乗せて、つながれていく襷。
選手それぞれが、悩み、葛藤しながらも走り続ける理由とは?
そして、最終区間には、胸に迫る思いがけない結末が!
巻末には、NHK大河ドラマ「いだてん」で、ランニングの指導・監修を務める金哲彦氏のインタビューを特別収録!
‹‹よく、日本人はマラソンや駅伝を観るのが好きな国民だといわれます。
なぜなのか。私がひとつ思い当たるのは、学生のころにみなが一様にマラソン大会を経験しているということです。肉体と精神を鍛えることを目的としたこのマラソン大会は日本特有で、欧米の学校教育にはないものです。ほとんどの人が、つらい思い出として残っているかもしれません。私が指導をしている市民ランナー一〇〇人に「昔から走るのが好きでしたか?」と聞くと、九割は「マラソン大会がつらくて、昔は走るのが嫌いだった」と答えますから。でも、この経験があるからこそ、誰もがマラソンや駅伝を観ながら選手と自分を照らし合わせ、「自分はあんなに走るのが大変だったのに、どうして選手たちはこんなに生き生きと走るのだろう」と想像力がかきたてられるのはないでしょうか。そうだとすれば、あの学校のマラソン大会も決して悪いことばかりとはいえないかもしれません。
そして、この本を読んだ人はさらに、駅伝のテレビ中継に映し出される選手を観ながら、「この選手はどんな人生を歩んできたんだろう」「今、なにを考えて走っているんだろう」と想像を広げることができるに違いありません。››
著/まはら三桃
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