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2019.3.16

列車ジャック発生!乗客の身代金は20億円!『十津川警部 南紀オーシャンアロー号の謎』

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列車ジャック発生!乗客の身代金は20億円!『十津川警部 南紀オーシャンアロー号の謎』

南紀に向かう特急列車で起こった難事件!

列車が進むたび、ミステリーが高まる!

京都を出発した特急オーシャンアロー17号。

その列車には、次期駐日大使のウィリアム・コテッティ、その夫人と娘、それに白浜に向かう十津川警部の妻・直子と叔母の美津子も乗車していた。

異変に気づいたのは、美津子だった。

停車予定の天王寺を通過したのだ。

直子は、十津川警部からの電話でそれを告げた。

 

そして、犯人と称する男が外務省に電話をしてきた。

神木昌幸とそのグループと名乗り、トレインジャックしたとして、コテッティ一家の身代金として日米両国で合わせて10億円、ほかの100人を超す乗客乗員の身代金として、JR西日本に対して10億円を要求。

 

‹‹乗客の皆さん、悲しい、お知らせです。この列車には、次期駐日大使のウィリアム・コテッティ氏と、そのご家族が乗っている。そこで、われわれは、JR西日本と同時に、日本の外務省とアメリカ政府にも、その三人の、身代金を要求した。最初、支払うといったのに、今になって、アメリカ政府は、拒否するといい出したのです。これまでは、穏やかに、身代金の交渉をして、それが、支払われ、乗客の皆さんを、解放できると、われわれも、考えていたのですが、こうなると、われわれは、何らかの、対抗措置を取らなければ、ならなくなりました。アメリカに戦争を挑むことは、できない相談です。唯一の手段は、この列車の乗客のなかからひとりを選んで、死んでもらうことになります。その責任は、身代金を、払おうとしないアメリカ政府にあります。今から五分後に、実行に移させてもらうことにします。››

 

運転室から出てきた犯人グループは、乗客のなかに、生け花の小暮流家元・小暮龍園の姿を見つけ、運転室につれていった。

 

このことはすぐに警視庁に伝えられ、紀勢本線の地図に目をやる十津川警部。

そのうち、主犯格がフランスの外人部隊にいて、ギニアで政府軍に雇われて反政府ゲリラと戦っていた高木健介という男であることがわかった。

そして、アメリカ政府は、ギニアのアメリカ大使射殺も高木の仕業と見ており、アメリカ軍も動き出してきた。

さまざまな思惑が錯綜する中、十津川は犯人逮捕と乗客の安全確保の双方ができるのか――。

 

思いもよらぬクライマックスまで一気読みの、スリリングな長編ミステリー!

 

解説は推理小説研究家の山前譲さんです。

 

‹‹舞台となっている特急は、大阪から南紀方面へのスピードアップを図るために紀勢本線に投入された、振り子式車両の283系である。まず一九九六年に「スーパーくろしお(オーシャンアロー)」として運行が開始された。そして一九九七年に「オーシャンアロー」と列車名が変更され、イルカをイメージしたと思わせるスマートな車体と、先頭のパノラマ型グリーン車が話題を呼んだ。二〇一二年に紀勢本線の特急列車は「くろしお」に統一されてしまったけれど、時刻表を見れば分かるように、「オーシャンアロー」の車両はまだ運行されている。

 その「オーシャンアロー」に起こった重大事件を十津川警部はいかに解決するのか。いつもながら十津川の決断はじつに大胆だ。南紀は西村作品によく登場し、鉄道が関わっての事件も『寝台特急「紀伊」殺人行』、『紀勢本線殺人事件』、『ワイドビュー南紀殺人事件』などがあるが、この長編はとりわけサスペンスに満ちている。››

 

小学館文庫

『十津川警部 南紀オーシャンアロー号の謎』

著/西村京太郎

 

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