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2019.5.12
ゾウ虐殺の「真犯人」とは!?象牙密猟組織と日本・中国の関係『牙 アフリカゾウの「密猟組織」を追って』
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アフリカゾウ虐殺の「真犯人」は誰だ!?
選考委員満場一致の第25回「小学館ノンフィクション大賞」受賞作!
◎高野秀行(ノンフィクション作家)
「ショッキングな現実が勢いある筆致で描かれ、『ザ・ノンフィクション』の醍醐味がある」
◎古市憲寿(社会学者)
「実は日本が加害者だった? ゾウと我々の意外な関係性が明らかになる」
◎三浦しをん(作家)
「私は、今後も象牙の印鑑は絶対作らないぞと決意した」
アフリカで、年間3万頭以上のゾウが虐殺されている。
密猟者らはゾウの群れを襲撃し、死後硬直が始まる前に、チェーンソーで顔面から牙をえぐりとっていく。
1940年代に500万頭いたとされるアフリカゾウは、2010年代に入り約10分の1に激減。
このままの状況が続けば、あと一世代で野生のゾウは地球上から姿を消してしまう、と言われている。
なぜ、こんなにも惨いことができるのか――。
新聞社の特派員としてアフリカに派遣された著者は、勇敢なマサイ族の取材助手レオンの力を借り、「密猟組織の中枢に迫っていく調査報道」に着手。
それは、レンジャーへの同行取材や密猟経験者へのインタビューといった、これまでに行われてきたどんなレポートよりも過酷で、困難を伴うものだった。
‹‹見渡す限りの大草原。
その直(ただ)中で象牙を目的に虐殺されてゆく無数のアフリカゾウの群れ。
誘拐した子どもに爆弾を巻き付け、市場やバスターミナルで自爆テロを強いるイスラム過激派のテロリストたち。
「最後の巨大市場」の覇権を奪うべく、国家的野心を剥(む)き出しにして暴走を続ける中国政府。
象牙を印鑑の材料として使い、その「伝統文化」を今も維持し続ける我が祖国・日本。
一見バラバラに見えるそれらのファクトは、暗闇の中を手探りのようにしてたどっていくと、それぞれがまるで針で貫かれたビーズのように一本の糸でつながっていることがわかる。
直結(リンク)しているのだ。
中国とアフリカが。
アフリカと日本が。
歓声と悲鳴が。
繁栄と不条理が。
無数の富と幾多もの死とが。
我が子女の卒業祝いに象牙の印鑑を買い求めるとき、アフリカでは数万頭のゾウが粗末なカラシニコフ自動小銃で殺され、学生たちの首が鉈で切り落とされている。
アフリカでゾウを殺しているのは誰か――。
これはその強大な「影」を闇の中で追い求めた小さな記録だ。››(本書「はじめに
」より)
「周囲を丹念に下調べしてから問題の外堀を埋め、時間を掛けて本末を打ち落としていくタイプ」の著者と、「馬で敵陣に切り込んでいくタイプ」のレオン。
ふたりは密猟で動くカネが過激派テロリストの資金源になっている実態に迫り、背後に蠢く中国の巨大な影を見つける。
そして問題は、象牙印鑑を重宝する私たち日本人へとつながっていく――。
密猟組織のドン、過激派テロリスト、中国大使館員、日本の象牙業者。
虐殺の「真犯人」とは、いったい誰なのか!?
緊迫感あふれる取材過程は、良質なサスペンス作品を彷彿とさせる。
「開高健ノンフィクション賞」、「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」も受賞した著者による、手に汗握るノンフィクション。
著/三浦英之
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