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2019.5.30

「楽園で第二の人生」失敗しないための条件。『脱出老人 フィリピン移住に最後の人生を賭ける日本人たち』

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「楽園で第二の人生」失敗しないための条件。『脱出老人 フィリピン移住に最後の人生を賭ける日本人たち』

日本を脱出した老人たちの、ジェットコースター人生を綴った衝撃のノンフィクション!

5月26日「ザ・ノンフィクション」(フジテレビ系)で映像化、大反響!

 

日本で「寂しく貧しい老後」を過ごすなら、いっそのことフィリピンで「極上のセカンドライフ」を送りたい。

 

▪ 一年中温暖

▪ 物価は日本の3~5分の1

▪ やさしく明るい国民性

▪ 原発ゼロ

▪ 年の差婚当たり前

 

こんな情報に誘われて、老人たちは次々に日本を脱出した。

はたして、老後の楽園はフィリピンにあるのだろうか。

 

恋人候補200人のナンパおじさん、

19歳の妻と1歳の息子と、スラムで芋の葉を食べて暮らす元大手企業サラリーマン、

東日本大震災を機に、東北から原発ゼロのフィリピンに移住した夫婦、

ゴミ屋敷暮らしだった母親をセブ島に住まわせる娘、

24歳年下妻とゴルフ三昧の元警察官、

90歳の認知症の母親をフィリピン人メイドと介護する夫婦、

「美しい島」で孤独死を選んだ元高校英語女性教師・・・・・・。

 

それぞれに、ままならない人生のドラマがあった。

なかでも、第二章「借金からの脱出」に登場する吉岡さんの〝生きざま〟は異色だ。

 

‹‹ここはマニラ首都圏の北に隣接するルソン島ブラカン州のとあるスラム。周辺には同じように粗末な家屋が密集しており、首都圏中心部からバスなどを乗り継いでおよそ三時間かかった。私が吉岡さんの自宅に宿泊させてもらった二〇一三年四月下旬のことだ。

台所から裏庭へ出た吉岡さんは、ビニール製の買い物袋に種火を付けて七輪の中へ入れた。そこへなたで真っ二つ割った角材を入れ、火を熾す。そして近くに置いてあるバケツを二つ手に取り、自宅から歩いて数十メートルの広場にある井戸へむかった。

「ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ・・・・・・」

井戸のポンプが上下する一定のリズム音が早朝の静けさの中に響き渡り、がたいの大きい吉岡さんは、慣れた手つきで井戸水を汲み上げる。バケツに二杯分を満たしたら自宅へ戻り、汲みたての水を手にして顔をサッとひと洗い。

スラムでの吉岡さんの一日は、バケツに井戸水を汲むことから始まる。自宅に水道が敷かれていないためだ。››

 

「極上のセカンドライフ」とは真逆にあるが、その生命力は人一倍強い。

老後の幸せとは何か? 人間の幸福とは何か?

「脱出老人」たちの悲喜こもごもを綴る。

フィリピン在住歴13年、取材した人数は100人超、開高健ノンフィクション賞受賞作家・水谷竹秀が体当たりで挑んだ渾身のルポルタージュ。

 

解説は、映画監督の崔洋一さん。

 

‹‹老後の幸福とは、何だろう。僕も含めて、やや、悲愴なイメージがつきまとう日本の高齢化社会の訪れだが、本書に登場する人たちは、「脱出」というアクションを起こした人々、ないしは帯同という行為を主体として選んだ人々だ。

水谷曰く「(略)不謹慎かもしれないが、幸せな人たちだけを集めた本にすべきではないという思いが通奏低音のように響き続けていた・・・・・・(略)」と自戒を込めつつ、「(略)日本でそのまま暮らしたら寂しい老後を送っていた可能性の高い高齢者たちが、フィリピンに来たから幸せになった、という事実だ(略)」と括りもする。

ならば、僕の括りはこうだ。「脱出老人」を実感したくなった。››

 

☆ 5月26日(日)フジテレビ系「ザ・ノンフィクション」で、本書に登場する吉岡さんらを主人公にした「黄昏れてフィリピン ~借金から逃れた脱出老人~」が放映され、視聴者から大反響!

 

‹‹日本社会に生きていると、何事にも完成度の高さが求められる。失敗は許されない。常に100%だ。特に最近は、何か問題発言や行動があればすぐにSNSにアップされる。だから迂闊なことはできない。互いに牽制し合い、そして萎縮してしまう。特に東京だと、余計にそう感じる。そうした日常を離れ、「ザ・ノンフィクション」のロケでフィリピンを訪問すると、相変わらずの吉岡さんの姿にフッと肩の力が抜け、心身が自然体になる。何をそんなに深刻に考えていたのか、と。生きていれば案外、何とかなるではないか。

大都会の片隅でそんな思いに耽りながら、人々の笑顔に溢れたフィリピンでの日々をたまに懐かしんでいる。››(著者「文庫版あとがき」より)

 

小学館文庫

『脱出老人

フィリピン移住に最後の人生を賭ける日本人たち』

著/水谷竹秀

 

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