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2019.8.21
なぜ、映画「みんなの学校」は多くの人々の心を揺さぶり続けているのか?『「みんなの学校」から社会を変える』
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「迷惑な子なんてひとりもいない」
〝奇跡の教育改革〟から学ぶ子どもの育て方
映画「みんなの学校」は大阪市にある公立学校「大空小学校」の日常を追ったドキュメンタリー。
障害のある子もない子も、すべての子どもが同じ場で学び合い育ち合う環境をスクリーンに映し出しました。
本作は、2015年2月に封切られてからロングランヒットを記録。
文部科学省特別選定作品にも選ばれて、封切りから4年以上経つ今も、全国各地で自主上映が続いています。
なぜ、「みんなの学校」は、こんなにも支持されているのでしょうか。
その理由は、第68回文化芸術祭大賞受賞の際の、大空小学校を評したこの言葉が物語っています。
「大空小学校の試みは、上からの教育改革とは一線を画す、現場からの教育改革である」
大空小学校は2006年4月開校。
初代校長を務めた木村泰子氏と教職員は、「すべての子どもの学習権を保障する」という理念のもと、「みんながつくる、みんなの学校」を目指してきました。
その結果、2012年度は、在籍児童220人のうち、特別支援の対象となる子は30人を超えていましたが、不登校はゼロ。
「地域に開かれた学校」として住民や学生のボランティアだけでなく、保護者らの支援も積極的に受け入れて、見守り体制をつくっています。
「子どもと大人が共に学び合う」。
それが「みんなの学校」といわれる所以です。
本書は、「大空小学校」の初代校長・木村泰子氏と、ADHDなど高機能発達障害がある人の支援と教育活動を長年行ってきた「えじそんくらぶ」代表・高山恵子氏による対談本。
映画「みんなの学校」の中で、なぜ子どもたちは、あれほどいきいきと輝いていたのか?
障害の有無に関わらず、すべての子どもが幸せに生きていくために、私たち大人は、今、何をすればいいのか?
ふたりの深く熱い対話から、「みんなの学校」を観た多くの人が感じる疑問が一つひとつ具体的に解き明かされていきます。
‹‹木村先生をはじめとして、子どもがのびのびと成長する場を提供している先生方は、異口同音にこうおっしゃいます。「何も特別なことはしていません。当然のことをしているだけです」と。頑張ってやっているという感じではなく、あり方としてとても自然です。しかしそれでは、目の前の子どもの対応に悩んでいる先生や親御さんには、どうすればいいのか、なかなか伝わらないのではないかと思います。大空小学校が実現した、素敵な学びの場をどうすればつくれるのか、そのヒントをこの対談の中から、読者のみなさまに見つけていただければ嬉しいです。››(高山恵子/本書「はじめに」より)
‹‹主語を子どもに変えると、これまで気づかなかったことがよく見えてきます。大人がよかれと思い一生懸命やっていることが、子どもを主語に変えると、案外子ども同士の分断につながっていることがあります。「みんなの学校」では悪戦苦闘の毎日でした。失敗を繰り返しながら、その都度子どもに教えられながら、みんなでやり直してきました。
すべての子どもは未来の社会をつくる宝です。「迷惑な子」なんて一人もいません。困っている子の周りの子が育てば困らなくなり、個性を存分に発揮します。気づくとすべての子どもが育っています。大人が変わりましょう。学びは楽しいですよ。››(木村泰子/本書「おわりに」より)
これからの教育のあり方の指針となる、子どもに関わるすべての大人必読の一冊です。
著/木村泰子 著/高山恵子
【著者プロフィール】
木村泰子(きむら・やすこ)
大阪市立大空小学校の初代校長。障害の有無に関わらず、すべての子どもが互いの個性を生かしつつ同じ場で学び合える教育を具現化した。2015年、45年間の教員生活を終え、現在は講演活動で全国を飛び回る。著書に『「みんなの学校」が教えてくれたこと』『「みんなの学校」流・自ら学ぶ子の育て方』(ともに小学館)などがある。
高山恵子(たかやま・けいこ)
NPO法人えじそんくらぶ代表。臨床心理士。昭和大学薬学部卒業後、約10年間学習塾を経営。アメリカトリニティー大学大学院教育学修士課程修了、同大学院ガイダンスカウンセリング修士課程修了。ADHDなど高機能発達障害のある人のカウンセリングと教育を中心に、ストレスマネジメント講座などにも力を入れている。『特性とともに幸せに生きる』(岩崎学術出版)など著書多数。
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