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2020.10.30
乙武洋匡が「ふつうじゃない〝愛のカタチ〟」を、剝き出しで描く。『ヒゲとナプキン』
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キーワード: 小説 LGBTQ
ふつうとは何か? 家族とは何か? これを読んだら、あなたは傍観者じゃいられなくなる。
600万部ベストセラー「五体不満足」で世間の〝ふつう〟を問い直した著者が、いま一番伝えたいLGBTQの物語。
男とは、女とは、そして家族とはなんだろう・・・。
読者の価値観を根底から揺るがすnote連載、待望の書籍化!
女として育てられ、現在は男として生きるイツキ、28歳。
勤務先の旅行会社には「過去」は告げていない。
2歳上のパートナー女性・サトカとは行きつけのショットバーで知り合った。
«出会ってしばらくして、イツキはみずからのややこしい境遇を告白した。
「へえ」
サトカはとくに驚くでも、ありふれた同情を振りまくでもなく、ただイツキの言葉を受け止めた。カミングアウトなんて大それた言葉を使うのがバカらしく思えるほど、サトカはそれまでと何ひとつ変わらない眼差しを向けてくれた。
「好きだ」と伝えた。「知ってる」と笑われた。その翌月からサトカのマンションに転がり込むようにして、同居生活が始まった。»
イツキのことを愛しつつも、出産への思いを募らせていくサトカ。
職場、恋人、両親・・・社会や家族と生身で向き合った先に、イツキは光を見出せるか――。
本書は著者の乙武洋匡氏が、トランスジェンダー活動家の杉山文野氏(NPO法人「東京レインボープライド」共同代表理事)の協力を得て、ともに作り上げた小説だ。
杉山氏は、乙武氏の古くからの友人であり、現在はLGBTQムーブメントの旗振り役でもある。
著者は、あとがきで杉山氏についてこう綴る。
«長い時間をかけて、何度も話を聞かせてもらった。友人として知っていたつもりでいたことが、決してすべてではなかったことを思い知らされた。彼の苦悩は、友人にもそう簡単には吐露できないほど複雑で、深いものだった»
乙武氏が、友人の思いに突き動かされ、初めて手がけた「誰かの物語」。
「今回の作品において、私は当事者ではないと思っていた。しかし、それは半分は事実でありながら、半分は誤りであることに気づいたのだ。たしかに私はトランスジェンダーでもLGBTQでもない。しかし、たまたま多くの人と違う境遇に生まれたことで理不尽な生き方を強いられる社会は絶対に変えていかなければならないと考えている。そうした意味ではやはり私も当事者であり、「誰かの物語」ではなく「私の物語」なのだと考えを改めさせられた。
主人公イツキの苦悩、そして周囲の人々の葛藤。まずは作品として味わっていただいた後、なぜこうした苦悩や葛藤が生まれてしまうのかについて思いを馳せていただければ幸いだ」(著者)
装画は漫画家・いくえみ綾さんによる描き下ろし!
りゅうちぇるさん絶賛!!
「僕たちは何を怖がり、何を守り生きているのか――改めて考えてほしいです」
著/乙武洋匡 原案/杉山文野
【著者プロフィール】
乙武洋匡(おとたけ・ひろただ)
1976年東京都生まれ。1998年、早稲田大学在学中に上梓した『五体不満足』は600万部のベストセラーに。卒業後、スポーツライター、小学校教諭などを務める。おもな著作に『だいじょうぶ3組』『自分を愛する力』『車輪の上』『ただいま、日本』など。noteにて定期購読マガジン「乙武洋匡の七転び八起き」を配信中。
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