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2021.1.26

鬼を滅せず、鬼と生きる道を探す。『鬼の子』

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キーワード: 漫画 鬼 家族

鬼を滅せず、鬼と生きる道を探す。『鬼の子』

オニくんが一歩踏み出すごとに、世界は温かくまわりだす。

「ほぼ日刊イトイ新聞」での連載漫画「やさしく、つよく、おもしろく。」で脚光を浴び人気沸騰。

アナログの味わい深いタッチに定評のある、ながしまひろみさん初の長編は、鬼の子として生まれた〝オニくん〟の居場所を探す物語。

 

元プロ野球選手(行方不明)とグラビア女優の母親をもつ中学2年生のみのるは、野球部をやめた帰り道、さびしさいっぱいの背中でグラウンドを見つめる少年に出会う。

帽子をかぶっているのになぜか上半身裸の少年に、みのるはユニフォームを着せてあげた。

家に帰ると、そこにいたのは、先ほどの少年だった。

「よろしくお願いします」と帽子をとった少年の頭には、1本のツノが。

そんな鬼の子を、みのるの母は快く引き受け、3人で一緒に暮らすことに。

名前は母が「オニくん」と名づけた。

 

«「ひとりじゃできないこと、ぼく、そういうのをやりたいです」»

(本文より)

野球が大好きなオニくんは、みのるに野球を教えてもらうのが一番の楽しみ。

小学校にも通い出し、クラスメイトと野球チーム「桃の子タイガース」もつくった。

ところが、ある出来事をきっかけに、自分はやっぱり、おそろしい鬼なのではないか、と疑心暗鬼に・・・。

そんな矢先、桃の子タイガースにとって、初めての対抗試合が始まる。

相手チームの監督は、失踪していたみのるの父だった。

WEBメディア「cakes」で連載時より大人気の作品が、単行本化にあたり加筆修正と描き下ろしカットを加えて登場。

野球選手の息子として生まれたことに悩むみのると、鬼の子として生まれたことに苦しむオニくん。

隠したいコンプレックス、素直に謝れなかった苦しさ、身近な人を傷つけてしまった後悔――

ふたりが互いに心を通わせながら、懸命に自分の居場所を見つけていく姿に、目頭が熱くなる。

手描きの柔らかな色彩と手触りのいい紙の記憶に誘われて、何度も読み返したくなる物語。

〝鬼は内(家)〟にぜひ!

 

『鬼の子 1』

作/ながしまひろみ

 

『鬼の子 2』

作/ながしまひろみ

 

【著者プロフィール】

ながしまひろみ

1983年北海道生まれ。マンガ家、イラストレーター。広告、装画などの作品も多数。

 

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