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2021.2.9

医療ミステリーの第一人者が描く「今いてほしいお医者さん」小説。『処方箋のないクリニック』

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キーワード: 小説 医療

医療ミステリーの第一人者が描く「今いてほしいお医者さん」小説。『処方箋のないクリニック』

現代の赤ひげ先生がメスを入れるのは、病気でこじれた人間関係!

怪しげな健康情報が身の回りにあふれている現在だからこそ、彼のような医者が必要だ!

東京郊外にある古びた洋館。

そこには先端科学では治せない患者と家族の「人生」を治療する名医がいる。

凄腕、イケメンだけど、ちょっと変わり者。

怪しげなサプリにはまる母。

仕事のストレスで血圧が上がった息子。

民間治療に心酔した妻・・・・。

そんな患者を持つ家族たちはどうしたらいいのか。

マドレーヌと紅茶の香る古い洋館の診察室を訪れた患者と家族は、倫太郎と話をするうちに、隠していた心の内を打ち明けてしまう・・・。

 

«「検査をして、病名をつけ、薬を処方したり手術を勧める。それはそれで必要なことだけど、それだけは足りない」

病気ではなくて、人と向き合いたいと倫太郎は言う。

「患者さんの中には、頭が固くて困った人もいる。滑稽なほどの心配症もいる。そして家族の方も患者さんとどう接したらいいか悩みを抱えているケースも多い。でも、みんな真剣だ。そういう人たちと、正面から向き合って話しているうちに、いろんなものが見えてくる。その積み重ねが、医者としての財産になると僕は思ってる。〈略〉」»

(本文より)

 

ヒリヒリするような医療サスペンスを数多く執筆してきた仙川 環の新境地。

本作では、患者と家族の〝わだかまり〟を解きほぐす規格外の医師を主人公に据え、心あたたまる人間ドラマを描き出しました。

患者やその家族に必要な情報とはなにか。

考え方や生き方が凝り固まった人たちに、どのようなアプローチを取ったらいいのか。

あ、これ私のことかも、ちょっと〇〇さんっぽい・・・など、身近に感じるエピソード満載です。

 

怪しげな健康法、民間療法を信じ、実践している人に、『それは似非医学だ』、『害があるかもしれない』と伝えても、納得してもらうのは難しい。険悪な雰囲気になることすらある。

そんな経験を繰り返すうちに、ようやく分かってきた。こちら側が『正しい情報を理解させよう』と力めば力むほど、相手は頑なになっていく。『北風と太陽』の寓話の通りなのだ。 『処方箋のないクリニック』の主人公である青島倫太郎医師は、そのあたりのことを誰よりよく分かっている。だから、病院嫌いだったり、おかしな情報に振り回されたりしている患者や家族に対して、決して上から目線で意見をしない。いつでもフランクで朗らかだ。だからこそ、相手は彼の話に素直に耳を傾ける気になる。

季節を問わずハーフパンツを愛用していたり、スイーツ好きだったりと、変わり者ではあるけれど、こんな医師が身近にいたら、どれほど心強いだろう。玉石混交の医療・健康情報が、身の回りにあふれている現在、彼のような医師が必要だとも思っている

(著者)

 

書店員さん絶賛!

「こんな先生に診てもらいたい!」――コメリ書房鈴鹿店・森田洋子さん

「シリーズ化をお願いします!」――文真堂書店ビバモール本庄店・山本智子さん

 

〈目次〉

もみじドライバー

サプリ教信者

総合内科 本日開院

理想のパートナー

血圧陰謀論

奇跡のメソッド

 

『処方箋のないクリニック』

著/仙川 環

 

【著者プロフィール】

仙川 環(せんかわ・たまき)

1968年東京都生まれ。大阪大学大学院医学系研究科修士課程修了。大手新聞社在籍中の2002年に書いた小説『感染』が第1回小学館文庫小説賞を受賞し、作家デビュー。その後執筆活動に専念する。作品に『再発』『潜伏』『誤飲』『鬼嵐』(小学館)ほか多数。

 

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