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2022.9.27

危険すぎる電子ゴミの墓場からアートを生み出す男。『NAGASAKA MAGO ALL SELECTION』

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キーワード: アート 美術 SDGs サステナブル・キャピタリズム 世界 アフリカ ガーナ 社会問題 長坂真護

危険すぎる電子ゴミの墓場からアートを生み出す男。『NAGASAKA MAGO ALL SELECTION』

これからのアートがはたす役割とは?「サステナブル・キャピタリズム」実践する美術家が視る未来!

ここ数年、廃棄物を利用して作るアートが注目されています。

しかもそれらの作品はNFTの普及やSDGsの流れもあり高値で売買されるようになりました。

その中で今もっとも脚光を浴びているのが、先進国がガーナに投棄した電子機器のゴミを使って作品をつくり続けるアーティスト長坂真護氏。

2009年に自身の会社が倒産し路上の絵描きとなった長坂氏は、2017年に単身、世界の電子機器の墓場と呼ばれるガーナのスラム街・アグボグブロシーを訪問。

そこで、わずか500円の日当で大量の電子ゴミを燃やしながら必死に生きる人々と出会います。

目の当たりにしたのは大量のガスを吸って癌になり、命を落とす若者の姿。

 

«アグボグブロシーは、ガーナ人でも行くことを拒む危険地域。その地を訪れて、目にしたのは、紛れもない資本主義の真実でした。日本はきれいな国だといわれていますが、日本を含む先進国が出したゴミの後始末を貧困国に押し付けているだけ。この負のサイクルのおかげで、僕たちの豊かな生活は成り立っているのです。見てはいけないものを見てしまった……と正直思いました。»

(本書「♯スラム撲滅! アグボグブロシーで見た資本主義の真実」より)

 

©MAGO CREATION/小学館

▲ガーナのスラム街・アグボグブロシーの住人は、電子ゴミを燃やすことで得られる金属を売り、わずかな賃金を得ている。

 

「彼らの命を犠牲にしてまで、富を形成することがそんなに大事なことなのか? アートの力でこの真実を伝えたい」と誓った長坂氏は、帰国後その電子ゴミを使って、スラム街で暮らす人々をモチーフにしたアートを制作。

その売上の多くを、彼らのガスマスク購入費用や学校の設立資金をはじめとする教育、文化、経済に還元しています。

 

«2018年11月、ガーナのスラムで暮らす男の子が描いた「Ghana’s son」という作品が1500万円の高値で売れました。いきなりトップアーティストみたいな価値がついたことにまず驚いたのですが、うれしさよりも、なぜ? という思いのほうが強かった。だって、今まで僕の絵がそんな金額で売れたことはなかったから、ギャランティーが振り込まれた日、2~3時間、自分が描いた作品の前に座り込んで、考え続けました。そしてたどり着いたのは、この絵が売れたのは自分の技術ではない、スラムで暮らす彼らが深い闇から放つ希望が、1500万円という価値を与えたんだ……という結論でした。だったら、その恩を返すために全額、彼らのために使おう! と思ったんです。»

(本書「スラム初、完全無料の私立学校「MAGO ART AND STUDY」より)

 

©MAGO CREATION/小学館

▲本書掲載作品より「Ghana’s son」(2018)。

 

©MAGO CREATION/小学館

▲2018年に設立された、スラム初の学校「MAGO ART AND STUDY」。

子どもたちに英語、算数、アート、社会、環境問題を教えている。

 

今では作品に億単位の値がつく人気アーティスト長坂真護氏の軌跡を、一冊のアートブックにまとめました。

長坂氏の目標は、2030年までに100億円以上集めて、現地に最先端のリサイクル工場を建設すること。

そして、世界最悪のスラム街を公害ゼロのサステイナブルタウンへと変貌させることです。

本書には、唯一無二のアーティストの生き様、そして彼が生み出す斬新なアートの世界観がつまっています。

 

〈目次〉

はじめに

1. 電子ゴミの墓場にてーGhana

2. バリの夜空にーMoon

3. サステナブル・キャピタリズムへの道ーMAGO History

4. 新しいイデオロギーー新世界

5. 平和と知恵ー小豆島 We Are Same Planet

6. 余命3日のアートを永遠の命にーWaste St. in NYC

7. 無限のベクトルーOther

8. 未来のアーティストたちーSuperstars

All to eradicate slums in Ghana

MAGO GALLERY

 

『NAGASAKA MAGO ALL SELECTION

長坂真護作品集』

著/長坂真護 

 

【著者プロフィール】

長坂真護(ながさか・まご)

©MAGO CREATION/小学館

1984年、福井県出身。サステナブル・キャピタリズムを掲げ、ガーナのスラム街に先進国が投棄した、電子廃棄物を再利用し美術品を制作。世界中の電子機器のゴミが集まる最終墓場と称されるガーナのアグボグブロシー地区で目の当たりにした惨状(深刻な電子機器のゴミ、環境悪化、健康被害、貧困)を何とかしたいと立ち上がり、アート制作の傍ら、ガスマスクを現地へ運び配布。その後、自身で教師も雇いスラム街の子供たちが無償で通える私立学校を設立。2019年には、同スラム街に自身のアートを展示した美術館を開館。この活動をハリウッドのドキュメンタリー映画監督Kern Konwiser氏(エミー賞受賞)が撮影し、ドキュメンタリー映画「Still A Black Star」を制作。2021年アメリカのNEWPORT BEACH FILM FESTIVALで「観客賞部門 最優秀環境映画賞」を受賞。現在、公開へ向けて準備中。

 

★ 東京・上野にて初の美術館での個展「長坂真護展 Still A〝BLACK〟STAR」開催中!

■開催期間:2022年9月10日(土)~2022年11月6日(日)

■会場:上野の森美術館 東京都台東区上野公園1-2

■主催:フジテレビジョン、上野の森美術館

■特別協賛:バリュエンスホールディングス株式会社

https://www.mago-exhibit.jp/

 

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