がんを切除しても余命は伸びない

‹‹アナウンサーの逸見政孝さん、

歌舞伎役者の18代目中村勘三郎さん、

将棋の米長邦雄さん、作家の渡辺淳一さん、

相撲の北の湖親方、千代の富士、

テレビ司会者の大橋巨泉さん・・・・・・

僕に言わせると、みなさん

治療で早死にしています››

そう、はっきり言い切るのは、

慶應大学病院時代から40年にわたって

がん治療の現場にたずさわり

「十人十色のがんの、

それぞれの症状に応じて、

きめこまかく対処法を考えてきた」

近藤誠医師。

現在の安易な手術や

抗がん剤治療に異を唱え続けています。

本書では、がん放置療法の近藤医師と、

「自宅で最期まで幸せに生き抜くお手伝い」を

日々続ける在宅緩和ケアの萬田緑平医師が、

『世界一ラクな「がん治療」』とは何か？

身近な有名人の例などもまじえて、

互いの意見をぶつけ合います！

・「マンモグラフィ検診は無意味」

・「がんの発見数は増えても、

死亡者数は減らない怪奇」

・「病院では手当たり次第に手術する

切り裂きジャックが出世する」

・「余命3か月の次は余命半年がはやってる？」

・「生かされている人は肺炎になる」など・・・

衝撃的な情報が飛びかう

本書の一部を紹介すると・・・

‹‹萬田 今年(2016年)も、

たくさんの著名人ががんで亡くなっていますね。

近藤 著名人はしょっちゅう、

人間ドッグでがんが見つかって

治療に突入して命を縮めています。

元横綱千代の富士(先代の九重親方)は

昨年、早期すい臓がんの手術をしてから

みるみるやせて、1年で亡くなったでしょう。

それから大橋巨泉さんは、11年間に手術5回、

放射線治療4回、抗がん剤治療を2回受けて、

結局がんに命を奪われています。

萬田 すさまじい治療歴です。

近藤 巨泉さんは、まず2005年に

人間ドッグで早期胃がんを発見され、

胃の半分を切除して、

15年末に腸閉塞で緊急入院。

絶食のため激ヤセされています。

一般に腸閉塞のほとんどは、

過去の腹部の手術の後遺症だからね。

萬田 手術で腸をいじるから

腸をおおう腹膜を傷つける。

すると傷が治る時、

腹膜どうしがくっついて癒着しやすく、

食べたものが通らなくなる合併症です。

近藤 早期胃がんはほぼ命を奪わない

"がんもどき"だから、巨泉さんは

胃を切除する必要なんて全くなかった。

もし"本物のがん"でも、

がんを切除したことで寿命が延びたと

証明できるデータは、

世界にひとつもないんだから››

自宅で好きに生きられると、

最後までラク。

日本人の8割以上は

病院で「苦痛死」していると

ふたりはいいます。

著名人には「早期発見・

早期治療主義」の人が多いですが、

俳優の緒方拳さんのように

すべてのがん治療をつっぱねた例も・・・

俺もあんな死に方をしたい

‹‹近藤 俳優の緒方拳さんは慢性肝炎、

肝硬変、肝臓がんを患った8年間、

「演じ続けたいから」と、

手術も抗がん剤治療もすべて突っぱねた。

最後のドラマの時は黄疸

(肝臓が働かなくなって命があぶないサイン。

白目や皮膚が黄色くなる)が出ていて、

医者に「もう仕事には行けませんよ」

と言われたのを振りきって

地方ロケまでやりとげて、

戻ったら黄疸が消えていたそうです。

ドラマの制作発表にも出て、

その5日後に、71歳で亡くなっています››

‹‹萬田 最終章のシナリオも

自分でちゃんと書いて、

カンペキに演じきったんですね。

そのカギは、実は家族が握っていて、

本人がそうしたくても

たいてい家族が許さない。

緒方さんは家族が

認めてくれたんでしょう。

近藤 緒方夫人が取材記者に

「何もしないという近藤先生の治療法に、

主人は大賛成でございました。

最後は本当に眠るように亡くなって、

私たち家族にとっても、救いでした」

とおっしゃったそうです››

「早期発見・早期治療」で

苦闘するより、

「つらくない方法」で笑ってピースして

旅立つには、なにを選択し、

なにを心がければいいのか。

「患者さんのQOLを守りたい」

「がんであっても幸せに生きてほしい」

強い想いをもったふたりのだからこその

信頼に値する多くの具体例に裏付けられた対談！

目からウロコの情報が満載です。

『世界一ラクな「がん治療」』

著／近藤誠　著／萬田緑平