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2017.1.16

「猫弁」シリーズの著者・大山淳子の昔のあだ名は、相手の本音を引き出す"聞く女"『原之内菊子の憂鬱なインタビュー』

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キーワード: 小説 テレビ 映画 エンタメ

「猫弁」シリーズの著者・大山淳子の昔のあだ名は、相手の本音を引き出す"聞く女"『原之内菊子の憂鬱なインタビュー』

大ヒット作「のぼうの城」

「超高速!参勤交代」などを

生んだ城戸賞でデビューし、

累計40万部を超える

「猫弁」シリーズで

熱烈なファンをもつ大山淳子。

待望の新作『原之内菊子の

憂鬱なインタビュー』は、

個性豊かなキャラクターと

センスあふれる表現に

思わず笑みがこぼれ、

登場人物たちが自分の居場所を

見つけていく姿に勇気と癒しをもらえる

最高のハートウォーミングストーリーだ。

 

大山氏に物語の背景を聞いた。

 

主人公の人物像はライター時代の体験から!?

 

SOL 『原之内菊子の憂鬱なインタビュー』の

主人公・原之内菊子には、その名のとおり、

意識せずとも、人の"腹の内を聞き出す"能力が

あります。この着想はどこから得たんですか?

大山 10年ほど前にフリーライターの仕事を

少しだけやっていた時期があるんですが、

取材の際、誰に習ったわけでもないのに、

相手の方がすごく話してくれたんです。

30分の予定が2時間になることや、

「あなただからしゃべっちゃった」と

言われることも一度や二度ではなくて。

周りから"聞く女"と呼ばれていました。

その分、テープ起こしは大変でしたが(笑)。

そういった経験が菊子の基になっています。

SOL 自身の体験が基になっていたんですね。

実はこの小説を読んだあとだったので、

菊子のように大山さんの腹の内をきちんと

聞くことができるか心配でした。

大山 あら、そうだったんですか?

プレッシャーになります? わたしも今までは

聞く側のほうが多かったので、きちんと要点を

話せるかドキドキしています。

SOL ライターをしていた当時、なぜ相手が

話をしてくれるか分析したことはありますか?

大山 明確な理由はわかりません。

専業主婦時代が長かったから、とにかく

人の話を聞くのが楽しかったことは

覚えています。

SOL この本には全編をとおして、

やくざの就職情報誌「くみなび」など

思わずクスッと笑える

ユニークな造語やエピソード

ちりばめられていますね?

大山 「きらら」の連載だったので、

当初は単行本になることを

想定していなかったんです。

だから、毎号、読んだ人に、

1回は笑ってほしい! それが

モチベーションになっていました。

SOL この作品は大山さんにとって

初の連載でしたが、注意された点は

ありますか?

大山 1号1号、区切りをつけること。

私自身、いいところで「つづく」になっちゃう

ドラマがあまり好きではないので

毎回、オチをつけるようにしました。

 

2016年の№1ドラマはプリンセスメゾン!

 

SOL 普段、テレビは観られるんですか?

大山 シナリオの仕事もしているので、

ドラマの1話目は必ず観るようにしています。

SOL 2016年10月クールのドラマで

気になった作品はありますか?

大山 「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS)は

もちろんよかったです。「地味にスゴイ!

校閲ガール・河野悦子」(日本テレビ)の

やりたいことはあるけど、目の前のことを

一生懸命がんばる姿勢にも共感できました。

2016年の№1は「プリンセスメゾン」

(NHK BSプレミアム)。胸に刺さりました。

娘も大ファンです。

描き手の手法も私好み。

主人公の沼ちゃんは寡黙で

何を考えているかわからない。

そんな彼女のことがモノローグではなく、

周りの人たちの視点によって、

少しずつわかってくる。

菊子も後半までほとんどしゃべらないのは、

彼女を取り巻く環境から、読み手に菊子像を

イメージしてほしかったからなんです。

SOL 大山さんがそもそもシナリオライターを

目ざすことになったきっかけはなんですか?

大山 ふたりの人からかけられた言葉が

きっかけになっています。ひとり目は、

編集の学校に通っていたときの校長先生。

ある日、呼び出されて、

「あなたは文章の個性が強すぎるから、

フリーライターでは食べていけない。

ダンナさんに食べさせてもらいながら

小説を書いたらどうですか?」

言われたんです。

もうひとりは夫のお母さん。

「一生に一度くらい、やりたいことを

やってごらんなさい」って

私の背中を押してくれました。

SOL 小説ではなく、シナリオだったのは

何か理由があったんですか?

大山 子どもの頃、映画館から出ると、

自分の見える世界が変わっている感じが

すごく印象的で。映像の仕事に携わりたい

と思ったんです。

SOL 好きな映画作品を教えてください!

大山 洋画では初代「猿の惑星」。

邦画では「トニー滝谷」「ひみつの花園」。

2016年公開の映画では

「ハロルドが笑う その日まで」が

心に残りました。

SOL 『原之内菊子の憂鬱なインタビュー』も

映像化されたら面白そうですね。

大山 役者さん、セリフが多くて大変ですね?

SOL 演じがいがあるんじゃないですか?

大山 そうですね。菊子に会って、

スイッチが入ったようにしゃべり続ける

シーンは、役者冥利につきると思います。

SOL 年末年始はどのように

すごされましたか?

大山 次の年も書き続けていたい!

という気持ちをこめて、

いつも年越しは原稿を書いています。

 

 

『原之内菊子の憂鬱なインタビュー』

著/大山淳子

彼女の顔を見た者は、

自分語りが止まらなくなってしまう・・・。

原之内菊子はそんな特殊能力を買われて、

コテコテ関西人の戸部社長が仕切る

弱小編プロ「三巴企画」に採用される。

インタビュアーとして、

ただ、うなずいているだけで、

次々に特ダネを取ってくる菊子だったが、

ある取材から、とんでもない事件に

巻き込まれてしまい・・・。

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