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2017.6.20

真面目な介護福祉士が風俗嬢に落ちるまで。『絶望の超高齢社会 介護業界の生き地獄』

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真面目な介護福祉士が風俗嬢に落ちるまで。『絶望の超高齢社会 介護業界の生き地獄』

これが介護業界の深すぎる闇の実態!

2025年には団塊の世代が後期高齢者になり、国民の5人に1人が75歳以上、3人に1人が65歳以上という超・超高齢か社会が到来します。しかし、そんな高齢者を支える介護職員は100万人足らないとも言われています。介護職といえば、低賃金、重労働から人が集まらない状況が続き、その傾向は今後とも続きそうです。

著者の中村淳彦氏は7年間にわたり、介護事業所を運営した経験を持ち、覚せい剤常習者の女性介護福祉士や認知症女性の入浴介助に興奮する男性スタッフなどに翻弄された経験もあります。そんなこともあり、介護業界の現状についても目を光らせています。悪質な事業所、常軌を逸脱した職員、倫理観のない環境など、さまざまな介護業界の問題を浮き彫りにします。丹念な取材を重ねて浮かび上がった驚愕の実態の数々には息を呑むばかり。

著者は語ります。

「2015年に介護報酬の大幅な引き下げがありました。ただでさえ低賃金なのに、さらに報酬が減らされた。まともにやっていけるわけがなく、普通に働いても普通の生活ができない女性介護職たちの売春が激増しています。風俗嬢との掛け持ちは、もはや当たり前で“パパ”を見つけて援助してもらっている女性介護職も山のようにいる。その実態を多くの介護関係者たちは否定するけど、事実を言ったら差別されるので、本人たちが事実を話すわけがないです」

その逆に、稼げなくなった中年風俗嬢が続々と介護業界に入り込んできてもいます。彼女らにとって、男性の入浴介助やおむつ替えなどなんの抵抗感もない。介護職と風俗の親和性が高いからなのです。

風俗からの転職はまだしも、問題は暴力団が直営の介護事業所です。見た目は普通の介護事業所ですが、実態は暴力団直営なので、当然コンプライアンスを守るわけがない。自社で雇用するケアマネジャーや医者、歯科医、接骨院、社会保険労務士などと組んで架空請求する。さらに資産のある高齢者には高額商品を買わせまくり、挙げ句に助成金詐欺も。正規の介護報酬の他に、いくつもの詐欺的な収入源があるので、めちゃくちゃ儲っているといいます。その逆に真面目に運営している小規模事業所ほど潰れていくというジレンマがあります。

最後に著者はこう提言しています。

‹‹女性介護職の経済的問題を改善するには、介護報酬のアップは必須となる。介護職の低賃金は、もう十数年間も社会問題となっているが、将来的にも賃金が上昇する気配はない。ならば、息切れするような競争から降り、高齢者へは最低限のサービスで十分とし、介護職たちが余裕を持って働ける環境をつくったほうがいい。精神的な余裕と時間が生まれれば、現在の悪い流れも変わってくるかもしれない。高齢者の幸せのために自分の家庭を壊し、さらに売春までさせるのは歪でしかない。

そして、高齢者や高齢者の家族たちは、介護職の苦境を知ることだ。高齢者たちは右肩あがりの恵まれた時代を生き、現代の若者たちは本当に苦しい。さらに社会問題となる女性の貧困は、介護保険がうまくまわらない介護業界が牽引している。十分に生きた高齢者は、高望みをせずに諦めることも必要だ。川崎老人ホーム転落死事件はモンスター家族の存在が引き金となったが、ギリギリの状況の中で相手を尊重しない過剰な要求は、すぐに自分たちに返る。››

 

現在、介護の現場で何が起きているのか?

目をそらしてはいけない地獄のような現実がここにあります。

 

小学館新書

『絶望の超高齢社会  介護業界の生き地獄』

著/中村淳彦

 

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