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2017.10.13
瀬戸内寂聴、95歳にして初の少女小説集。三島由紀夫との文通エピソードも収録!『青い花』
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キーワード: 小説 少女小説 三島由紀夫 エッセイ
清く正しく美しく。寂聴文学の原点、ここに!
瀬戸内寂聴が、デビュー前の昭和25年から昭和33年にかけて、さまざまな雑誌に寄せた少女小説や童話を発掘。
その中から特に思い入れの深い作品をセレクト!
さらに書き下ろしの少女小説1本を収録した、作家生活70年にして初の少女小説集です。
今回新たに書き下ろされた少女小説「二代の手紙」は、「仲よしお手紙」(昭和29年)でおちゃめな文通をしていたふたりの少女たちのその後の人生を描いています。
「私が少女小説をはじめて書きはじめたのは、優しい夫と幼い可愛い娘のいるおだやかな家庭を飛び出し、京都で放浪している時であった」
少女小説といっても、花が咲き、蝶が舞う、甘い花園の物語ではありません。
戦後の自由でのびやかな時代の雰囲気の陰で、確かに存在した戦争の傷痕や貧困など、子どもたちを取り巻く厳しい現実もくっきりと描写。
そしてその中で少女たちは、自身が置かれた状況と向き合い、正々堂々と健気に明日を切り開いていきます。
タイトルの「青い花」は、昭和25年「少女世界」に掲載された短篇で、思春期の少女の揺れ動く心と内省を手紙というスタイルで見事に描き出して三島由紀夫に絶賛された作品です。
その三島由紀夫との思い出を綴ったエッセイも1本収録しています。
‹‹私は閑にまかせて、思いつきで三島由紀夫にファンレターを送ったりした。どうせ読まれもしないだろうと、のんきな手紙を出したところ、思いがけなく、三島由紀夫自筆の返事が返ってきた。大きな字で爽やかな筆勢の三島由紀夫というペン字を見て、私は舞い上ってしまった。中には
「私はファンレターには一切返事を書かない主義にしているが、あなたの手紙は、あまりに面白かったので、つい返事を書いてしまった」
とあった。それから文通がはじまった。››
ほかに、長篇時代小説「ふりそでマリア」(昭和32年『小学六年生』~昭和33年『女学生の友』)収録!
ジャンルは多岐にわたりますが、ここで描かれる、時に凜々しく、時に無邪気な少女たちの姿は、まさに作家・瀬戸内寂聴そのものです。
著/瀬戸内寂聴
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