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2019.10.16

高卒ドラ1の常識が変わった?「球数制限」時代に生まれた『投げない怪物』

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高卒ドラ1の常識が変わった?「球数制限」時代に生まれた『投げない怪物』

佐々木朗希「登板回避」は本当に「英断」だったのか?

10月17日(木)に行われる「プロ野球ドラフト会議2019」。

「12球団、どこでも頑張りたい」という大船渡高校・佐々木朗希や夏の甲子園で準優勝を果たした星稜高校・奥川恭伸は、はたしてどの球団へ行くのか?

熱い視線が注がれています。

 

複数球団の指名が予想される佐々木朗希は、高校3年生にして球速163kmを記録した「令和の怪物」。

登板日にはスカウトが大挙して訪れ、「すぐにでもプロで通用する」といわれた逸材です。

ところが、甲子園出場が懸かった岩手大会決勝では、連投による故障を避けるため、32歳の青年監督・國保陽平が「登板回避」の決断をしたことで、「投げない怪物」がベンチから見守るなか、チームは大差で敗れました。

世論が真っ二つに割れたこの騒動は、高校野球の歴史において、〝転換点〟といわれることになるであろう采配でした。

 

2019年夏の岩手大会に密着したノンフィクションライターの著者は、絶対的エースの登板回避を巡る議論の中で、抜け落ちている論点がある、と疑問を呈します。

 

‹‹あだち充作品をはじめ、数々の名作がある高校野球マンガも、必ずと言っていいほど、主人公は孤独なエースだ。幾人も投手を起用して勝ち上がっていく様を描いたとて、読者の心には響かないのだろう。

だが、大船渡の甲子園出場よりも佐々木という規格外の怪物の将来を優先した國保の判断が大きな話題を呼んだことをきっかけに、令和の時代を迎えた日本の高校野球の常識は大きく塗り替えてられていくだろう。

実際、本書で明らかにしていくように、強豪校のチームの作り方や甲子園での戦い方は大きく様変わりしてきている。ひとりの怪物に依存しないチーム作りがどんどん広がっている。

佐々木の騒動を経て、この流れは加速し、世間の支持を得てさらに拡大していくに違いない。

ただ、2019年夏の岩手大会に密着した私は、國保の采配を「英断」と持ち上げるだけの評価には、違和感を覚えた。

國保の舵取りは、本当に選手たちの信頼を得ていたのか――その疑問が拭えないのだ。››

 

『投げない怪物 佐々木朗希と高校野球の新時代』では、佐々木の登板回避の裏側に迫るとともに、スカウト、選手の育成、試合運びに至るまで、新たな時代を迎えた高校野球で起きていることを明らかにしていく。

 

こちらは本書の目次です。

 

零章 令和の怪物の「短すぎた夏」

「甲子園に行きたくねえのか!」

「怪物史」の転換点

サインを出さなくなった監督

一九四球の代償

投げなかった怪物

新たな重圧

 

第一章 甲子園から「先発完投」が消えた

「連投」への批判

ひとり五十球が理想

エース温存は「日本一になるため」

新時代の名将の条件

スーパー一年生の起用法

勝敗は「継投」で決まる

 

第二章 「未来の怪物」争奪戦

トライアウトという見本市

「大阪桐蔭に行きます」

ヒエラルキーの最上位

勝ち組と負け組

「集めすぎ」への批判

 

第三章 選ばれる強豪校の条件

嫌われ王者

「みんなでカナノウに行こう」

「みんなで大阪桐蔭に行こう」

チームメイトこと最強の敵

B戦で打席数保証

牧方ボーイズの卒団生

プロへの道は「小学生から」

親子の選択

名門公立の再建

 

第四章 新・怪物の作り方

電撃移籍

同じ県の剛腕

六年かけて育てる

軟式出身という可能性

勝つためのシステム

仙台のふたり

 

第五章 昭和・平成の名スカウトは語る

伝説の男

東海大相模に勝ちたい

甲子園制覇の立役者

桑田との出会い

清原との出会い

松坂との出会い

 

第六章 新時代の覇者

大阪桐蔭を選ばなかった男

まさかの先発マウンド

絶体絶命の王者

大博打のあとに

スライダーが消える

エースの休ませ方

大阪桐蔭に選ばれなかった男

 

終章 佐々木朗希と奥川恭伸

右手の血マメ

ふたりの怪物

七回、十八奪三振

一回、十九球

「あとひとり投げさせてください」

 

強豪校の監督、選手、OB、昭和・平成の怪物を見出した伝説のスカウトらに徹底取材!

高校野球の現場、そしてプロを目指す野球少年たちの「異変の正体」に迫った衝撃の書です。

 

『投げない怪物

佐々木朗希と高校野球の新時代』

著/柳川悠二

 

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