全国の書店員さんから、
感想がぞくぞく到着!
「本のプロ」は『宙ごはん』を
こう読んでくれました。

新潟県

感情の嵐が襲ってきた。優しさが心に沁みたり、悲しみに押し潰されそうになったり、寂しさを共感したり、上手くいかないことに傷ついたり、何度も胸が詰まって涙がせり上げてきた。
佐伯さんが好きだ。一緒にいると楽しくて、人の気持ちを理解できる優しい人だ。だから花野と一緒になって欲しかった。宙のお父さんになって欲しかった。そして…とても悲しかった。
誰かの思いがこもった料理や誰かと共に食卓を囲むことで人は変化して成長していくものだと思った。佐伯さんの優しさが宙や花野に息づいていて、親子共に成長してきたんだなと思う。
私も亡き祖母や母の作ってくれたごはんをもう一度食べてみたいな、と懐かしくなった。そして、共に食卓を囲むこと、心のこもった料理を作ることを大切にしていこうと思う。前作『星を掬う』の〝掬う〟見つけました。こういう〝おつ〟なところも楽しめたし、優しさがじーんと沁みました。素晴らしかった!!

くまざわ書店 新潟西店 大谷純子さん

『温かくおいしい料理にはそれだけで人を元気にする力がある。そう思っているので、その場面がでてくるたびに、自分の事のように感じ、確信する。
こんなに理不尽な事や辛い人、家庭ばかりだったら辛いと思いつつでも、思えば皆何かしら抱えていて時にはいっぱいいっぱいにもなるけれどがんばって生きている。それでもこんなにやさしい人達に、現実世界もこんなやさしい思いであふれていてほしいと思いました。
主人公の宙といっしょに私も読みながら成長していってるように感じ、人を思う気持ちを大切にしつつ前を向いて明日も生きようと思わせてくれる物語でした。

知遊堂 三条店 広川和美さん

町田さんの作品を読み続けていますが、また進化してるんですね。『星を掬う』の母娘問題と、『52ヘルツのクジラたち』の愛のその後を見た気がします。
宙が、本の中に自分の答えを探すように、読者の私たちも町田さんの作品に答えを見出し続けているのかもしれません。大人らしいことをしないから好きだと思っていた花野を、母親らしくないと悩んで成長していく宙。たくさんの人と関わっていい子になった、と花野が言うセリフに、宙だけではなく、花野も成長したんだと感動しました。
人と関わって、愛を与えられ、痛みをのりこえて素敵な人間ドラマでした。

文信堂書店 長岡店 賓山美穂さん

長野県

つらく、苦しい時の食事は味もよくわからない。でも、食べることで体の中に入ってくるのは、「栄養素」ではなく「やさしさ」だ。作った人のやさしさ、あたたかさ、そんな思いが力になり、前に進むきっかけになるのだろう。
少し変った環境で育った宙の迷い、喜び、涙が丁寧に描かれる、やさしい料理を作ることを目指す宙。読者は宙を応援しながら同時に励まされていることに気づく。

平安堂 長野店 清水末子さん

山梨県

育ての母のママ、生みの母のカノさん。二人の母親を持つ宙。母娘の成長物語。登場するお料理は、どれもほっこりあたたかくてやさしくて……。しかし、ただ〝やさしい〟だけでは終わらないのが、さすがは町田そのこ先生だ。
生きていくということは、甘くてふわふわなだけじゃない。どうして私ばっかり! なんでわかってくれないの? そう叫ぶことができたらいいのに。
自分の力ではどうにもできないこともある。もどかしい気持ちを抱えながらも、私たちは生きていくのだ。そんな時、頼れるやっちゃんにそばにいてほしい。誰かに助けを求めることは悪いことじゃないんだと、ふがいない自分のことを認めてもらえたような、なんだかとても安心した気持ちになる。
宙の作るパンケーキのように、この作品が読者の心の拠りどころになればいいな。

柳正堂書店 甲府昭和イトーヨーカドー店 山本机久美さん

お腹を満たす=心を満たす。美味しいものを食べるというのは、自分へのご褒美であると思う。辛い時こそ食べて元気出して、なんてよく言うけれど、この物語は具材の大きなやさしいスープみたいだった。辛いことも、悲しいことも、自分の気持ちと人の気持ちをいっぱいいっぱい咀嚼して、飲み込んで、血肉になって成長して、それを慈しむように料理が温かく寄り添ってくれる。
一人の料理人から広がった優しさが、めぐりめぐってまた誰かを救う。「家族」や「学校」という狭く閉ざされた社会にとらわれている辛さと真反対にあるのは、人の繋がりが縁を呼び、宙たちが囲む食卓からみえる光景は、心安らげる優しさの空間だった。
人の想いが詰まった温かい料理と、心に寄り添った食卓の在り方。宙たちが築き上げた関係性と主体性に、明るい未来がみえた。

宮脇書店 韮崎店 谷戸美奈さん

静岡県

一風変わった家庭環境で育った主人公「宙」。家族や友人との何気ない会話やしぐさに色濃く滲み出ていたのは、彼女の優しさだった。普通の女の子なのに独特のオーラをまとう彼女に魅せられました。
彼女から学んだことは、その人の事を想いながら作る料理はその人を幸せにするという、とてもシンプルでそして大事な事でした。「ビストロ サエキ」の看板を見かけた方、ご一報ください。

谷島屋 ららぽーと沼津店 小川誠一さん

食べることは生きること。幸せな気持ちになるのは、一緒に食卓を囲んだ、一緒に話した、笑えた温かい記憶。
子どもも大人も、悲しいことも辛いことも泣きたいときもやってくる。上手になんて生きられない。でも一人ではないから、大丈夫だと。もらったやさしさが自分の中で育ったら、今度は誰かに渡せたらいいのだと、教えてくれる本でした。
今、温かいスープがとても食べたいです。

あおい書店 富士店 鈴木裕里さん

何度も何度も涙が溢れました。
多種多様な家族の形があり、必ずしも皆が幸せではなく、様々な辛い過去も耐え難い身の置き場のない今も、きっと、心のこもった美味しい料理と湯気の向こうに希望がみなぎる。美味しい食事は「愛」のカタチなんだ。
誰かのために一生懸命になれるってなんて素敵なことなんだろう。たくさんの愛をもらった様な気持ちになる一冊でした。

あおい書店 富士店 望月美保子さん

宙ちゃんが料理や食事を通して色々な人とかかわりあいながら成長していく、そんな宙ちゃんの成長を遠くで見守っている親戚のおばちゃんの様な心もちで読んでいました。
この小説には完璧な人などいっさい登場していなくて、みんなどこか傷ついていて、それでもそれぞれが思いあって生きている。町田さんの小説は傷ついている人がとても上手く書かれているけど、それ以上に傷ついた人に寄り添う心の書き方も上手くて感心します。何度でも読んでしまうし、その度に人とのつながりや接し方を考えさせられる。
町田さんが全身全霊をこめて書いたこの小説は、まちがいなく22年最大級の勝負作だと思います。すっごい泣きました。

焼津谷島屋 吉田店 沼野さち世さん

『52ヘルツのクジラたち』も『星を掬う』も読んでいてとにかく辛くてしょうがなくなる親子の姿が描かれていて、今作もやっぱりそんな親子の姿が物語の軸になっていて、でもその間に恭弘のような温かい人や温かくておいしそうな料理があって、それを挟むことで、いろんな物を抱えて辛くてしょうがなくなるような人たちのまわりを取り巻いていたものがほぐされて、前に進ませてくれる。
たくさんの物を抱え込んだままでは、その重さで人は動けなくなる。誰かの力を頼って、抱えきれないものを分けあって、そうすることでとにかく生きて、前に進むことが大事なんだと、そしてそれは何歳になってもできることだしやらなきゃいけないことなんだと思い知らされた。
「あたたかくておいしそうな料理がでてきてホンワカ」みたいな安易なものに終始しなかったことで、最後まで心を揺さぶられながら読みました。

アマノ 有玉店 山本明広さん

愛知県

電車の中で読んでて涙をこらえるのに必死でした(こらえた)。
前作『星を掬う』で描かれた「町田そのこさん的、家族と母娘のかたち」が今作でまた進化している。抱望や悲しみ、さみしさを周りの人と、おいしいごはんに救われ、支えられ、乗り越え成長するふたり。母娘の数年間の軌跡を一緒にたどれてしあわせです。

くまざわ書店 名古屋セントラルパーク店 大洞良子さん

こんなに悲しくて寂しくて優しくて温かいパンケーキが他にあるだろうか。
人より早くオトナにならざるを得ない子どもがいる。誰かに助けてと言えない子どもがいる。自分の心を殺し、周りに合わせて生きている子どもがいる。そんな傷つきながらも必死に自分の足で立とうとしている子どもたちの手をそっと握って、温かいパンケーキを食べさせてあげたい。
母親になること、母親でいること、それは誰でもできることじゃない。そこにあるあまり気付かれない小さくて大きいハードルを町田そのこは丁寧に掘り出す。
人生はだれのためのものか。誰のために生きるのか。そういう一つの大きな問題と、もう一つ描かれる罪への「償い」という大きな壁。いくつも描かれるそれぞれの「罪」。法に反するわけじゃなくても誰かを傷つけてしまい背負っている罪はある。その罪に対しても、赦されることを求めてはいけない。相手に赦しを強制するのは暴力である。ということに私たちはあまりにも無頓着なんじゃないか。
自分が救われるために赦しを得る。そのせいでもっと傷つく人がいる、と気付くべきなんだ。
この一つの物語の中に込められたたくさんの思い。誰かのために温かいご飯を作ること。おいしいご飯を誰かと食べること。そして、犯した罪への真摯な姿勢。町田そのこの厳しくて温かい眼がきっとずっと見守ってくれる、そんな気になる一冊でした。

精文館書店 中島新町店 久田かおりさん

目に見えることだけが大事じゃない。むしろ目に見えないことに本当は大切なことがたくさんある。
愛情は形にはできないけれどたくさんこの本の中にあふれていて、ほんの少し「気付こうとする」だけでみんなが幸せになれる。そんな優しくてあたたかな物語でした。
町田そのこさんの本の中で、一番「読んでほしい!」と思う小説です!

丸善 ヒルズウォーク徳重店 熊谷由佳さん

めちゃめちゃ良かったです。1番好きな町田先生先品を更新しました!
魅力的な登場人物に心に響くフレーズがいっぱいで胸が熱くなります。身に染みる部分に線を引いたらプルーフがマーカーだらけになりました(笑)。魅力的な登場人物がたくさんいましたがなんといっても佐伯さんの存在が一番です! 分け隔てなく愛情を注げるところが素敵すぎる! 常に宙親子のそばにいてくれてありがとう!
恥ずかしながら赦しを請う事が暴力になるという事にはじめて気づきました。確かにそうだと思いショックを受けましたが、気づかせてもらってよかったです。相手の立場で考えること、自分目線で物事を判断しないことを忘れないようにしたいです。
『宙ごはん』宙をとりまく一風変わった素敵な家族の優しい物語をぜひ店頭でおすすめしたいと思います。

BOOKSえみたす ピアゴ植田店 清野里美さん

どんなに辛い時でも、あたたかい料理と、話を聞いてくれる人がいれば救われ、成長できるのだ。会話がぐっと胸にささる作品で、いつもは1冊を数日かけないと読めない自分だが、ページをめくる手が止まらず、一気に読み終えた。
時折、あたたかい涙をポロポロとこぼしながら、優しい気持ちになった。まずは、家族と向き合う時間を大切にしよう!

未来屋書店 長久手店 加藤知嘉子さん

富山県

昔から同じ釜の飯を食うなんて言いますが、心のこもった料理には、食卓を囲む人たちの心を近くする温かい力があるんだろうなと思います。
家族との食事を少し煩わしく感じていた、自分の幼い頃も思い出したりなんかして。
宙と同世代の子たちは勿論、たくさんの人におすすめしたい一冊です!

文苑堂書店 新湊店 鳥山さん

石川県

あたたかいごはんの傍らにはあたたかい家族像ばかりを連想しがちななかで、宙と花野の家族の形と、二人の関係性が年を重ねていくたびに二人だけの形になっていく過程がすごく好きでした。各話のラストに必ず宙と花野が向かい合う食事風景はより美味しそうで、じわっと満たされていくようでした。ふわふわほこほこなどオノマトペを入れた料理名が印象的です。
マリーが語る家族の形はハッとさせられました。幼くしてそのような考え方にいきついてしまったことは無視できることではありませんが、家族・母・子の形にあるべき姿も括りもなく、互いに想い合える空間と向き合うこと、尊重し合うことを止めなければ成り立っていくんだと、『宙ごはん』を読んで感じました。

うつのみや 金沢百番街店 小松稚奈さん

福井県

やっぱり、これ以上追いつめないでと思う。主人公、主人公の大切な人。傷つき、失う苦しさを現実で知っているから、物語の中でその感情に出会うと苦しくて仕方なくなる。
でも、読むことをやめないのは、町田さんの作品(物語)には「必ず希望がある」と信じているから。
「あなたはひとりじゃないよ」「あなたはわたしの大切な人だよ」絶対にこの手を離すものか、決意のようなメッセージを感じる。生きることはままならないこと。多々打ちのめされるけれど、生きている限り、救いの瞬間がある。だから、やっぱり私は町田さんの物語が好き。

AKUSHU BOOK&BASE 石田美香さん

〝やっちゃん〟が美味しいごはんを通して伝え続けた大きな愛に泣いた。愛情のそそぎ方は愛情がそそがれたことがなければわからない。大人になったら強くなって、全部がわかるようになったらいいのに、と思う。
それでも人はいつまでも小さな子どものままではないし、弱いままでもない。与えられなかったものを自分の力で手にすることもできる。〝とにかく生きることが最優先〟もう無理だと思ったとき、助けてくれる人がいるかどうかで、その後の人生は大きく変わる。
宙と花野には佐伯がいた。一番つらい時に二人を支えて、引っぱりあげてくれた人。
いい母親ってなんだろう。子どもにとっていい母でありたいと思うけれど、その子にとって本当に必要なものを、正しいものを、私は与えることができているだろうか。その答えはいつになったらわかるのだろう。

Super KaBoS 鯖江店 峯森和代さん